ICTを活用したスマート水管理システムで高品質の米づくりを省力化 お気に入りに追加
ほ場水管理システムWATARASユーザーインタビュー
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りんごの産地として名高い青森県弘前市で、青森県初の特A評価を受ける良食味米「青天の霹靂」の栽培を中心に、水稲栽培面積98haの大規模営農を展開しているのがミウラファーム津軽様です。同法人は、近隣農家の高齢化や後継者不足から農地集積が進む中、課題であったほ場の水管理をWATARASによって解決。水管理にかかる労力を大幅に軽減するとともに、ブランド米の品質・収量の向上につなげています。今回は、代表を務める三浦裕行さんとご子息の三浦正裕さんにWATARAS導入効果についてお話を伺いました。

水管理を見える化・自動化できるWATARAS

ほ場整備事業を契機にWATARASを導入

三浦さんがWATARASの導入したのは2020年、ほ場整備事業がきっかけでした。ミウラファーム津軽では、地域で離農する農家が増加し、1年で約10haも栽培面積が拡大、管理するほ場も300筆を超えていました。「水管理は息子と私の二人で行っていますが、私は約60haを担当し、2日かけて全ほ場を回っていました。日中は農作業があるので、朝早く家を出て9時頃までほ場を回り、午後は夕方16時頃からまた回る。それを毎日繰り返すような感じです。この水管理を何とかラクにできないかといつも考えていました」と三浦さん。
そのような時に、高杉地区のほ場整備事業に合わせて、みちのくクボタからWATARASによる水管理の提案を受けたと言います。「WATARASを導入したらほ場を回らなくても管理できるとの話でした。とても魅力的でしたので、色々考えて『じゃあ、全部に付けましょう』とお願いしました」と当時を振り返ります。その後、みちのくクボタと導入計画を本格的に進め、ほ場整備が完了した20haに11基の電動アクチュエータを設置しました。

水管理をラクにしたいとWATARASを導入した㈱ミウラファーム津軽の三浦裕行さん

青天の霹靂ほ場に設置された電動アクチュエータ

ミウラファーム津軽の営農を機械化の面からサポートするみちのくクボタの小笠原照明さん(写真左端)と成田智世さん(写真右端)

KSASとの連携でより作業効率が高まったWATARAS

ミウラファーム津軽は、2014年にKSASをいち早く経営に導入。規模拡大によって増加したほ場をKSASで見える化し管理しています。2022年からのKSAS水管理マップのリリース、2023年3月にはKSASとWATARASの連携が始まり、より効率のよい活用が可能になりました。
三浦さんは、「今まではパソコンでKSASとWATARASの画面をそれぞれ開かないと見られませんでしたが、KSASとWATARASが連携したことでパソコンでの作業効率が上がりました。例えば夕方、事務所に戻ってきてKSASで日誌を作成している時に、そのままWATARAS画面に移って水位状況が見られて管理ができます。2画面開くところを1画面で済むようになったのはうれしいですね」と話します。また、「KSAS水管理マップでの一括表示では、WATARASがついていないほ場でも入水・出水の管理もできますし、WATARAS管理ほ場の水位・水温も確認できます。KSAS-WATARAS連携で、水管理が見える化でき、そこがすごくいいと思っています」。

KSAS水管理マップでほ場の水管理状況を一覧で見ることができる

KSAS画面からWATARAS画面に簡単に遷移し、WATARAS設置ほ場の水位・水温・給水状況を確認できる

より良いお米づくりを支えるWATARAS

適切な水管理が品質・収量向上につながる

WATARAS導入による栽培面での効果についてお聞きすると、「WATARASを入れている場所は、青天の霹靂と乾田直播で栽培しているまっしぐらのほ場です。品種によって出穂時期が違うので、深水管理のための入水時期が異なります。WATARASを活用することで、品種に見合った適切な水管理がスケジュール設定によって可能になります」と三浦さん。
また、「急に低温になって深水にしたいと思った時には、スマートフォンから水位調整できますし、逆に、夏場の高温障害を回避したいときには、電動アクチュエータを出水させてかけ流しにするなど、現地に行かなくてもスマートフォンから操作できるのはとても助かっています。これは収量や品質の向上につながっていると思います」と遠隔操作のメリットを強調します。
さらに、乾田直播の水管理についても、「乾田直播は、生育初期の浅水管理が難しく、しかもほ場の水持ちが悪いため、こまめな水管理が必要です。その緻密な水管理をWATARASに任せて自動管理することでかなりの労力削減につながっています」と語ります。

三浦さんは、WATARASを使えば、経験の浅いスタッフにもほ場管理を任すことができると考えている

スマートフォンでほ場ごとにリアルタイムの水位や水温を把握でき、適切な水管理が可能になった

農業経営を様々な角度から支えるWATARAS

WATARASでラクになった水管理、家族と過ごす時間ができた

ミウラファーム津軽では、現在、3基増えて、14基の電動アクチュエータが稼働しています。
導入目的であった水管理の軽労化について、三浦さんは、「WATARAS導入後、私が水管理に実際回っているほ場は20haぐらいまで減りました。今まで回っていたほ場も、2週間に1回とか、エラー表示が出た時しか見に行かないほ場もあります。WATARASを使って本当に水管理がラクになりました」と嬉しそうに話します。
後継者の正裕さんは、「年数が経つにつれて、WATARASの『ありがたみ』がわかってきました。年々、自分たちで管理しないといけないほ場が増えていくにつれて、スマートフォンで管理できるということがどれだけラクなのか、今実感しています。本当に導入して良かったなと思います」。さらに、「WATARASのおかげで、以前と違い、夜遅くまでほ場を回ることもなくなりましたし、朝も少しゆっくりできます。特に休みの日にほ場に行かなくても良いように(自動制御で)調整できるようになったことで、妻や子供たちとの時間を取れるようになりました」とWATARASによって、家族と過ごす大切な時間が増えたと話します。

WATARASによって家族と過ごす時間が増えたと話す正裕さん

目指すは「食味日本一」

今後の展開について、三浦さんは、「WATARASは、初期投資が高いというイメージがありますが、実際使ってみれば、ほ場に行く回数が減り、別の作業もできるようになります。例えば新たに野菜作に取り組めば収益向上も図れるかもしれません。今後については、中継機が使えない遠隔地もありますので、直接通信型の導入も視野に、全ほ場にWATARASを設置して、水管理はすべてWATARASに任せたいと思っています」とWATARASを一層経営に活用していく考えを示します。
正裕さんは、「大規模経営には省力化は不可欠ですから、KSASやWATARASの活用はすごく大事なことだと考えています。このようなシステムを上手く使うことで、お米の品質をもっと向上させて、消費者の皆様に安全で安心な美味しいお米を届けたいと思います」と抱負を語ります。今年から食味コンクールに参加し、ミウラファーム津軽のお米の評価を肌で感じたいとも話す正裕さん。夢はもちろん食味日本一です。ミウラファーム津軽の新たな挑戦は、今、始まったばかりです。

プロフィール
青森県弘前市
株式会社ミウラファーム津軽
【経営内容】
水稲98ha※(青天の霹靂40ha、つがるロマン28ha、まっしぐら20ha、あきたこまち5ha、はれわたり5ha)
※98haうち疎植40ha、密播47ha、直播11ha(うち初冬直播9.5ha)
作業受託:収穫・乾燥調製45ha、無人ヘリ防除2700ha他
りんご1.5ha
にんにく1.3ha
麦2.9ha

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