クボタトラクタ Slugger GS vol.8
京都府|
大豆|水稲|麦|
豆腐や味噌、湯葉や煮豆等の原材料になる大豆は、京都の食文化を支える上で欠かせないものですが、京都府産大豆は生産量が低く、多くを他府県産に頼っています。こうした現状を打開しようと、老舗の大豆問屋が自ら栽培に乗り出し、地産地消に取組んでいます。今回はSlugger GSを主にうね立て播種に活用するお客様に、どう経営にお役立ていただいているのか、お話をお伺いしました。
【GSトラクタ導入ユーザーインタビュー】
播種ムラによる欠株が激減。Slugger GSだからこそできた、高精度播種。
京都府のほぼ中央に位置する南丹市に、大豆25ha、味噌原料用の加工用米8ha、小麦6.5haを栽培する(株)北尾吉三郎商店の直営農場があります。経営母体の(株)北尾吉三郎商店は、大正元年創業。大豆専門の卸商で、2016年に農業参入しました。スタート時は30aほどの規模でしたが、ここ数年で急拡大しています。「どんどん規模を広げていこうと動いてきたので、広範囲にほ場が点在しています。ほ場によって、土壌の水分量にバラツキがあるので、ほ場の状態に合わせ播種方法を変える必要があり、大変なんです」と悩みを口にするのは、同社専務の北川さんです。
「土壌水分量が多いとカビが生え、種が腐るので浅く播く必要がありますが、土が柔らかくトラクタ全体が沈み込むので、土中深くに種が入ってしまいます。逆に土壌が乾燥していると、乾燥害を受けやすく芽が出てこなくなるので、深めに播種したいのですが、土壌が乾いているので播種機が深く入っていかず、浅く播種してしまいます。」
出芽率を上げるため、適切な播種深度を保つことがポイントですが、「播種深さの調整をどの段階でするのか、真っ直ぐ前を見て走り続けながら判断するのは不可能なんです。でも、Slugger GSなら前を見なくても、ずっと後ろを見ていられるので、リアルタイムで調整できます。」北川専務は、速度調整レバー、耕深調節ダイヤル、作業機昇降レバーの3つを駆使し、きめ細かく深さ調整を行っています。「Slugger GSでなければ、まずこんなことをしようという発想は起きなかったでしょうね。今まで芽が出ている所もあれば、出ていない所もあるというのが、普通だという感覚でした。面積から考えると補植もできないですし、適期も過ぎているので諦めるしかない。それが100mの直線で、欠株もなくきれいに植わっている場面は、Slugger GSに乗るまで見たことがなかったです。獲れ高が大きく向上しました。」
管理作業がスピードアップ。1日にできる作業面積も増え、時短にもつながった。
もう一つ北川専務が、GS機能の良さが分かると言うのが、「中耕培土の時です。うねが蛇行した所は、曲がったうねに合わせハンドルを切るのでスピードが出せず、土もきれいに寄りません。」管理作業を効率良く、高精度に行うため、正確なうね立てが求められますが、熟練を要します。農業未経験からのスタートで「ようやく運転操作も少し慣れてきた」そうですが、オペレータごとに運転の癖があり、精度にバラツキがあったと言います。
「それがSlugger GSなら、真っ直ぐ播種できるので、その後の中耕培土がやりやすく、スピードも出せ土もきれいに寄ります。うねを立てない播種の場合、これまで時速3kmまでしか出せなかったところ、4kmは出せます。」1日の作業可能面積が、「1haとか平気で変わる。作業時間も非常に短くなった」と実感しています。「3日掛かっていた作業が2日でできると喜びにもなりますし、達成感も生まれ、気持ちもラクになった」と言います。
「やっぱり真っ直ぐ植えられなかった所は、残念な気持ちになります。最初が歪んだばっかりに、後が全部歪んだり。本来ならもう1列播種できているのに、できなかったとなれば、収量に影響します。後悔したくないので頑張りますが、100mもある直進距離をハンドルを握りしめたまま真っ直ぐ走るというのは、過酷です。そのストレスが少しでも緩和され良かった。肩の荷が降りました。」
うね立て播種以外にSlugger GSの出番を増やしていきたい。
「Slugger GSを代かき作業にも活用しています。ある程度水が多くても、どこまで代をかいたか分かるので、色塗りガイダンス機能は重宝しています。」北川専務の目下の目標に、「手掛ける作物の収量、食味を向上させること。Slugger GSを十分に使いこなすため、活用法を掘り下げたい」ことがあり、来年はあぜ塗り作業にも使う予定です。
倉庫にはSlugger GSの他に、GS田植機(直進時自動操舵機能付き田植機)やドローンが並びます。「クボタの営農システムKSASも導入しています。点在するほ場の確認に苦労することから、ほ場管理や日誌作成で毎日活用していて、非常に便利です。」広大な面積をスタッフ3名という限られた人数で対応することから、作業の省力・効率化を図るため、経営にスマート農業を取り入れています。
「現状問題として高齢化で離農される方が多く、草刈りも何も管理できないほ場が休耕田になる等のケースが増えないよう、我々のような企業で請け負う事例がもっと増えていく、またそうなっていくと思います。今、注目を浴びるSDGs(持続可能な開発目標)ですが、まさに持続可能な農業を皆で目指していくには、スマート農業で賢く(スマート)に経営していく。こんな魅力的な仕事だから、友人にも紹介したいし、家族にも引き継いで欲しいという内容にしていきたい」と次の展開を話す北川専務。その想いに、クボタのスマート農機が応えられることも多そうです。