【注意・当面掲載不可】麺・パスタ用高アミロース米・輸出用米の栽培に鉄コーティング直播で挑戦! お気に入りに追加
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事例 熊本発

【注意・当面掲載不可】麺・パスタ用高アミロース米・輸出用米の栽培に鉄コーティング直播で挑戦!

【注意・当面掲載不可】麺・パスタ用高アミロース米・輸出用米の栽培に鉄コーティング直播で挑戦!

(この記事は、平成27年11月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.32』を元に構成しています)

 


 

 阿蘇郡南阿蘇村は、阿蘇カルデラの南部、阿蘇五岳と外輪山に挟まれた南郷谷に位置する典型的な中山間地。阿蘇山の豊富な湧水が育てる高品質で美味しい棚田米の産地です。村内で、奥さま、ご長男との家族経営で、水稲栽培と森林組合の受託の林業を営む加々山聖道さんは、農作業の省力・低コスト・軽労化を目指して昨年から鉄コーティング直播への取組みをスタート。㈱中九州クボタの取り扱う輸出用米や麺・パスタ用の高アミロース米など新規需要米の栽培にも果敢に挑戦しています。

直初年度から2ha規模で鉄コーティング直播を導入

 「3〜4年前から、中九州クボタの展示会で、鉄コーティング直播のことは知っており、昨年、4条の直播専用機を購入して、一気に2.3haほど直播に切り替えました」と加々山さん。自作地約1.5haを含む水稲の全作付面積は4.5haと地域では規模が大きい方ですが、基盤整備ができていない圃場がほとんどで、圃場枚数は約40枚。林業と両方の経営でもあり、春作業は重労働で、「ラクになるなら、思い切ってなるべく大きな面積で取り組もう」と決心したそうです。「全部で約700箱の苗づくりが半分になり、苗運びや苗補給の手間も半分。作業が本当にラクになりました」と笑顔。今年、腕の手術をされた奥さんのツヨ子さんも「今年は一度も田んぼに入らずにすみ、助かりました」といい、趣味と実益を兼ねた野菜づくりに専念する時間が持てたそうです。
 幸い、地域にはスクミリンゴガイも棲息しておらず、出芽についても余り心配はしなかったという加々山さんが、最も苦労をしたのは除草作業。「去年、今年共にヒエが多くて苦労しました。まだ2年目で、分からないことも多いので、除草体系など、これからいろいろ学んで技術を上げていきたい」と意欲的で、中九州クボタが主催する講習会には毎回出席しています。

米の消費拡大につながる高アミロース米を作付け

 今年、加々山さんは鉄コーティング直播で、高アミロース米の作付け60aにも挑戦しています。これは、中九州クボタが、一昨年から取り組んでいる玄米ペーストパン生産販売の第2弾として新たにスタートする玄米ペースト麺・パスタへの取組みを受けてのこと。今年は、県内5軒の農家が中九州クボタからの依頼で、種子の提供を受け、栽培に取り組んでいます。
 「新規需要米を生産することで、水田フル活用の助成金も交付されるし、自分が作った米が多くの人に喜んで食べてもらえて、米の地産・地消、消費拡大にもつながるとあって、喜んで協力させて頂くことにしました」
 玄米ペーストは糠部分まで使用するため安全・安心も大切な要素。「この地域は、昔から安全・安心への意識が高く、減農薬・減化学肥料栽培を行っていますから、全く問題はありません。高アミロース米は稈長が短く倒伏しにくいこと、また、新規需要米として生産調整の対象になることからも、来年はもう少し面積を広げたいと思います」

輸出用米の生産にも挑戦!地元の良食味米を世界へ

 昨年から、輸出用コシヒカリの栽培にも取り組んでいます。中九州クボタがコシヒカリの輸出に取り組んでいると聞き、加々山さんの方から申し出をして取組みを始めました。
 「輸出用米生産に取り組んでいるのは、私を含めて県内で4軒です。輸出先はシンガポールや香港と聞いていますが、生産調整の対象にもなるし、自分が作った米が世界の人の食卓に届くと思うと意欲が湧く。この辺りは外輪山の影響で日照時間が短く、単収は平均7俵と少し低めですが、阿蘇の湧水と昼夜の寒暖差が大きい気象条件のおかげで、とても良食味の米がとれるんですよ。輸出用米も全量鉄コーティング直播で作付けし、昨年は50aでしたが、今年は1.2haに面積を増やしました」
 さらなる食味の向上を目指して、今年からワラの全量鋤き込みと冬期かん水による土づくりにも力を入れています。

新規需要米の生産拡大で、ニーズに合った米づくりを!

 「うちの経営が軌道に乗ったのは私が55歳位の時からなんです。森林組合の受託作業と水稲栽培との両立で、経営の安定化を図りました。それ以降、徐々に水稲作業を頼まれるようになり面積が拡大してきました。今でも毎年、何人か作業を委託してこられますので、近い将来には、今の2倍ぐらいになるんじゃないかと思うんです。林業も携わる人が減っているから、自分たちの山は自分の手で守っていきたい。だから、林業と農業を両立できるよう、思い切って鉄コーティング直播を取り入れることにしたんですよ」
 ご長男の和也さんが、3年前にUターン就農されたことも意欲の後押しになったという加々山さん。いずれは全面積鉄コーティング直播に切り替え、コーティング作業も自宅で行ってさらに経営効率を上げたいといいます。
 「来年は3haぐらい直播にしたい。輸出用米の面積も増やしたいし、麺・パスタ用だけでなく、パン用の米も作ってみたいです。いずれ市場に米が余ってくるだろうから、需要に合った米づくりをしていくことが大切だと思います」と将来の展望を語ります。

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