クボタ ソリューションレポート #8
茨城県|
稲|
水戸地域農業改良普及センターで、平成29年度全国農業システム化研究会の現地実証調査として行われている一発耕起播種機トリプルエコロジーによる乾田直播の実証。7月18日に、茨城県水戸市平戸地区の実証圃場を訪れ、幼穂形成期の生育状況を確認しました。
【 耳より情報 】
❶ 当初3回の除草設計を、播種後と発芽後の2回の除草で雑草を抑える❷ 播種時の高水分条件で土塊が発生するも、播種後の砕土により、発芽率70%以上を確保
実証圃場は、播種時(4/14)の土壌水分が多く、砕土が十分でなかったため、その後圃場が乾燥した際に土塊ができ、土壌表面に盤が形成されました。普及センターでは、このままでは発芽に影響が出ると判断し、ハンマーモアで表面の土を砕くことで砕土率を高めました。その対策が功を奏し、調査地点では70%以上の発芽率を示しました。その結果、幼穂形成期の稲姿は、全体的にはとても良好な生育を示していましたが、播種時の土塊が影響し、稲の生育が不揃いになっている箇所もあり、課題も残しています。
過去に取り組んだ乾田直播と比べて、稲姿が全然違いますね!
場所によっては、生育に少し差が見られますが、直播としたら今の生育状況は良い方ではないでしょうか。以前、不耕起播種機で取り組んだ直播では、稲姿は、全然こんな状態ではなかったですよ。もっと分げつしなかった。収穫時期でも土が見えてたくらいです。
分げつを取りたかったので、中干しはしていないんですが、齋藤顧問から、中干しによる根張り効果の話を聞き、7 ~ 8葉期に中干しを行い、ある程度水分を切って根を土中に入れていった方が良かったのかなと思っています。だから葉色が取れていないのかも知れませんね。
3回予定の除草体系を、発芽前と発芽後の2回に修正
雑草対策は、発芽前の5月3日にブームスプレーヤで1回目の除草剤を散布。除草剤はラウンドアップマックスロードとマーシェット乳剤の2剤です。その後、5月19日の生育調査で発芽状況を確認後、次のステージでよいとの判断で、一週間後の5月26日に2回目の除草剤を動噴で散布しました。この時はトップガンGT1キロ粒剤です。当初の計画では3回の除草体系を組んでいましたが、雑草を予想以上に抑えることができたので、この2回で終えることにしました。
ハンマーモアで表層を砕土し発芽トラブルを回避。
現場の判断が功を奏し、高い発芽率を示す
発芽は非常によかったですね。播種量は、10a当たりの播種量は6.7kgですから、㎡当たり約130粒として92粒発芽してます。発芽率は70%を超えていると思います。
今回の問題となった土塊は、播種日の圃場条件が悪く、土壌の水分が多かったことが原因です。もう1日乾いた状態で播種できればきれいに仕上がったと思います。そうすれば、鎮圧もうまくできたはずです。播種時の土壌水分が多かったため、砕土がうまくいかなくて、大きい土塊が播種した種子の上にできて、その後、乾いたために盤になって固まり、発芽に悪い状況になりました。それを打開するため、ハンマーモアで砕土し、おかげで発芽率が上がった。現場の判断がよかったと思います。
幼穂形成期の生育状況については、今の時点で茎数が約480本というのは、それほど悪い形ではありません。ただ、直播の場合、もっと最高茎数がいっぱいになってそれを抑えるのが大変だという感じになることが多いんですが、それを考えると、分げつはしてるんですが、十分という程は茎数は取れてはいないという感じです。しかし、穂数がもう100本増えたとしても全部が収量に結びつくことではないので、そこまで欲張らないでいいのかと思います。