生産資材価格や飼料価格の上昇、主食用米価格2年連続低下等、農業経営を取り巻く環境はたいへん厳しいものとなっています。
環境への配慮にも注目が高まり、いかに経済と環境を両立させていくかが問われる中、この特集が、その仕組みを考えるヒントになれば幸いです。
(本記事は、U元氣農業No40から一部抜粋して掲載しています)
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日本農業経営学会の梅本雅会長に、米価の低迷に悩む水田作経営を中心として、収益力強化にどう取り組むべきか、語っていただきました。
主食用米への依存度を下げ、経営の多角化を進める
水田作経営においては、特に、機械等の汎用利用が可能な麦類、大豆、子実用とうもろこし等の飼料作物、野菜類等への生産拡大が強く要請される状況にあります。
米、特に、主食用米だけに注目すると、経営戦略は限られたものになりがちですが、今述べた作物は、いずれも国民の生活に不可欠であり、改めて、本格的な生産拡大が求められています。そして、これらの作物への生産シフトが進めば米の供給が少なくなり、結果として米価水準が向上します。
したがって、水田作経営の基本的な方向としては、主食用米への依存度を下げ、経営の多角化を進めていくことにあると言えるでしょう。
水田農業の収益力強化に向けた、スマート農業技術の活用
水田農業の収益力を強化していくには、スマート農業の導入が先ではなく、まずは、経営戦略を整理すべきでしょう。
これからの水田作経営の基本は、以下4点であると考えます。
①米に依存せず水田という土地を最大限活用していくこと
②規模拡大に対応できる人材の育成・確保を進めていくこと
③作物の収量水準を高めていくこと
④徹底した経費削減を図っていくこと
スマート農業は、収量性をいかに向上させていくか、規模拡大に合わせて経費削減をいかに進めていくかといった観点から活用されていく必要があります。
収量性を上げる鍵はデータ活用
省力的、かつ、稠密・周到な栽培管理や作業を実施していくことが収量向上につながります。その際に、細かな資材や労働の投入データを収集、整理し、活用していくことは資材投入を最適化することにもなりますが、それらを可能にするのがスマート農業です。
スマート農業は規模の不経済回避にも不可欠
規模の不経済を回避する上でもスマート農業は不可欠です。たとえば、十分な技能を持たない従業員も精度の高い作業が効率的にできます。また、作業軌跡や栽培管理のデータを解析し、ほ場に合った作業や品種・作型の配置により、大規模化してもさらにコストを下げていくことができるでしょう。
クボタの取組
スマート農機を活用した収量向上・コスト削減
収量向上、コスト削減、いずれの場合も、前提にあるのがデータの活用です。
食味・収量センサ付コンバインのデータをKSASに取り込み、これに基づいて作成した施肥マップを自動運転田植機に送信して可変施肥を行うことで、食味・収量の向上が可能です。また、ムダな施肥をなくすことで高騰する肥料の節減、コスト削減となり、みどり戦略の目標達成にも貢献できます。
さらに、衛星測位システムを活用した直進走行や自動走行機能により作業効率が飛躍的に向上し、規模拡大につながるとともに、未熟練な作業者でも高精度な作業が可能になります。
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