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大豆安定生産に欠かせない除草技術

大豆安定生産に欠かせない除草技術

大豆生産で重要となる雑草対策。耕起前から、中耕、生育中期の防除まで、生育の各段階に合わせた除草技術をご紹介します。
(この記事は、平成28年6月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.33』を元に構成しています)

 


 

 昔から「畑作は雑草との戦い」と言われており、大豆を栽培する上で雑草対策は切っても切り離せません。大切なことは直接的な除草だけに頼らず、排水対策、連作を避ける田畑輪換、良好な苗立ちが確保できる播種技術の実践によって雑草の発生を抑えることが重要です。これができていないと、圃場の除草作業に余分な労力をかけることになります。除草には機械的な方法と除草剤による方法がありますが、いずれの技術も適期に実施しないと効果が著しく失われます。
また、散布後に大雨があると、流れてしまうことがあります。播種直後、素早く散布します

 今回は除草技術についてご紹介しますが、全圃場を同じやり方で除草する必要はありません。圃場ごとに雑草の出方を見て、どのような除草対策を行うのが最適なのか検討し、経費節減に努めます。

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耕起前の非選択性除草剤の散布

 播種前の耕起は、一見、雑草をうまく防除しているように見えても、埋没した雑草の一部が枯死せず生き残ることがあります。特に土壌水分が高く、砕土率が悪い圃場では多く生き残ります。耕起前の非選択性除草剤の散布は、土壌処理剤で抑えられないこのような雑草に効果的です。耕起前1週間頃までに散布しますが、あまり早過ぎると、播種時期に新たな雑草が芽生えてしまいます。

播種直後の土壌処理剤散布

 土壌処理剤は、土壌表面に除草剤の薄い層をつくり、出芽してくる雑草を枯らします。深い層から出芽する雑草、種子が大きい雑草には効果が劣ります。また、土壌の砕土が悪かったり、土壌が乾燥し過ぎたりしていると、除草剤の層が出来づらくなるため、除草効果が劣り、初期の雑草発生が早くなることがあるので注意します。

中耕・培土

 中耕・培土は原則2回実施します。1回目の中耕・培土は子葉が隠れる程度、2回目は第1本葉ぐらいまでの高さに土寄せします。1回目の中耕・培土の主な目的は除草です。播種後の土壌処理剤の効果が切れる頃に生えてくる小さな雑草を除草しますが、まだ、大豆が小さいので、十分な培土は難しく株元・株間の除草が劣ります。この中耕により表層の土壌が撹乱されるため、土壌処理剤の効果が消失し、雨が降ると一斉に雑草が芽生えてきます。2回目の目的はうね間の中耕除草に加えてしっかり、株元までの土寄せが重要となります。これにより株元に生えている雑草を埋没・枯死させます。また、不定根の発生を促進し、倒伏防止の効果を高めます。開花期以降は根が広がってくるため、中耕で根を傷めることがあります。根が傷つくと、生育が抑制されるばかりでなく、大豆黒根腐れ病菌の感染を助長することになります。

生育初期の雑草茎葉処理剤(大豆バサグラン等)散布

 第1回目の中耕・培土で土壌処理剤の効果が完全に消失し、土中の休眠雑草が覚醒され、芽生えてきます。これらの雑草を抑えるためには大豆バサグラン(広葉用除草剤)とイネ科雑草除草剤の茎葉処理が効果的です。ただし、土壌処理剤の効きが悪く、播種後2 、3週間目(2葉期頃)でも雑草が見え始める場合は、第1回目の中耕・培土作業の前であっても早めに散布します。この方法では、圃場に全面散布しますので、作業効率が高まります。注意したいのは、株間・株元に除草剤が届きやすい時期(大豆があまり大きくない時期)に散布することです。

生育中期の非選択性除草剤散布

手取り除草をなくす最後の手段

 中耕・培土によりうね間の雑草はきれいに防除できますが、株間・株元の雑草が枯れずに残ることがあります。生育中期の非選択性除草剤の散布は雑草対策の最後の手段として有効です。ただし、非選択性除草剤といえども、雑草が頭から散布できなくなるほど大きくなると枯らすことができなくなります。散布作業には、「万能散布バー」がお奨めです。「万能散布バー」は、ソリ型のバーを引きずる方式で基部をゴムで固定しているので、バーが前後左右、一本、一本自由に動き、圃場に凹凸があっても柔軟に対応できます。このため、株間・株元への高精度・高能率散布が可能になり、ドリフトによる薬害も抑えられます。

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