【クボタ 大地のいぶき 付属書】

付属書番号 KDI-2

第1条 (プロジェクト名称)

J-クレジット制度を活用した水稲栽培における中干し期間の延長によるメタン削減プロジェクト(以下「本プロジェクト」という)

第2条 (目的)

(1)水稲栽培における中干し期間を延長することによる、水田からの温室効果ガスであるメタンの排出量の抑制。
(2)上記の行為により削減した温室効果ガスを、J-クレジット(注1)としてJ-クレジット制度認証委員会(注2)に申請し、認証を受けることによる環境価値の「見える化」及び、脱炭素社会の推進。

注1)国内における地球温暖化対策のための排出削減・吸収量認証制度(以下「J-クレジット制度」という)実施要綱(平成25年4月17日経済産業省、環境省、農林水産省策定)に基づくクレジット
注2)J-クレジット制度を管理する経済産業省、環境省、農林水産省が共同で設置した、J-クレジットの認証を行う委員会

第3条 (プロジェクト参加者)

プロジェクト参加者とは、本付属書に同意の上、管理人の定める所定の参加手続きのもと、管理人に本プロジェクトへの参加を申し込み管理人から承認を受けた者をいう

第4条 (プロジェクト参加条件)

本プロジェクトの参加条件は、次の通りとする。
(1)「クボタ 大地のいぶき」の会員であること
(2)本プロジェクト実施水田(以下、「当該水田」という)における営農を主に実施する法人、組合又はそれに準ずる組織体、もしくは個人に該当すること。
(3)当該水田の所在地を、管理人の定める方法で管理人に届け出ること。なお、当該水田の所在地の届け出日を、J-クレジット制度が定める削減活動実績報告リストに記載する入会申し込み日とする。
(4)当該水田における本プロジェクト実施前の直近2か年以上の中干し実施日数を記録しており管理人へ提供できること。
(5)当該水田における、本プロジェクト実施年度の前年の稲刈終了から本プロジェクト実施年度の水稲栽培の開始までの間の有機物施用量を記録しており、管理人へ提供できること。
(6)当該水田における、作付面積又は耕地面積、施用有機物、田植え日、中干し開始日、中干し終了日、出穂日、その他J-クレジット制度事務局への提出に必要となるの情報を、その記録者および記録日とともに、管理人の定める方法で取得・提供すること
(7)(3)及び(4)に定める情報について、生産管理記録(注3)等を使用する場合はその生産管理記録等は栽培当時に作成した記録とし、内容の真偽に関わらず、その栽培を終えた後に作成、加工された記録でないこと。また、生産管理記録等としてほ場水管理システムWATARAS(株式会社クボタケミックス製)やクボタ営農支援システムKSAS(株式会社クボタ製)を使用する場合は、WATARASやKSASに記録される情報を、管理人が、管理人の任意のタイミングで取得することに承諾すること。
(8)第5条に定める実施事項を実施する事に同意すること。
(9)当該水田において、本プロジェクトと同手法による温室効果ガス削減プロジェクトに参加しておらず、また、本会の会員である限りは参加しないこと。ただし、中干し期間の延長に取り組んだ初年度の「中干しを開始した日」から2年が経過するまでは、残りの認証対象期間を引き継いで、プロジェクトを移動し、参加することができる。
(10)過去に管理人から、管理人との間で締結した本プロジェクトに関連する契約の解除又は会員資格の取り消しを受けたことがないこと。
(11)本プロジェクトによって創出されるJ-クレジットについて、対価を受領することを条件に、その全てを管理人に譲渡すること。なお、対価の額、受け渡し方法、受け渡し時期などについては、会員登録・参加申込後に、管理人から会員へ個別に連絡する。
(12)創出されるJ-クレジットの譲渡以後、当該水田における中干し延長による温室効果ガス排出量削減を、自らの排出削減・吸収量として主張できなくなること(クレジットの二重認証及び環境価値の二重主張の禁止)に同意すること。

注3)出荷先の農協等に提出した書類、水管理システム(WATARAS等)の記録、営農支援アプリ(KSAS等)の記録、オンライン作業日誌などの営農記録

第5条 (プロジェクト参加者の実施事項)

本プロジェクト参加者の実施事項は、次のとおりとする。
(1)当該水田において、中干しの期間を、本プロジェクト実施前の直近2か年以上の実施日数の平均より7日間以上延長する(以下、「中干し延長」という)。なお、中干し延長により、過剰乾燥による根の障害等が発生し、収量減を招く等のリスク(注4)があることを理解した上で、会員自身の責で中干し延長を実施すること。
(2)管理人に対して、当該水田について、その所在地、作付面積又は耕地面積、施用有機物、田植え日、中干し開始日、中干し終了日、出穂日、その他J-クレジット制度事務局への提出に必要となるの情報をその記録者・記録日とともに、管理人の定める方法で取得・提供すること。なお、それら提供される情報は、故意の有無に関わらず虚偽ではなく、また過去に記録した情報を使用する場合は、栽培当時(該当する作業日から概ね1か月以内)に作成した情報とし、内容の真偽に関わらず、その栽培を終えた後に、追記、訂正、削除が行われた記録は一切用いない。

注4)「水田メタン発生抑制のための新たな水管理技術マニュアル」(独立行政法人農業環境技術研究所(現 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)、平成24年8月)では、全国8県の栽培試験において、中干し期間の延長によって、地域によっては増収した場合もあるものの、平均3%程度減収したと報告されている。(他方で、登熟歩合向上、タンパク含量低下など、品質は向上したとも報告されている。)「水稲栽培における中干し期間の延長のJ-クレジット制度について」(農林水産省 農産局農業環境対策課、令和5年4月)

第6条 (J-クレジットの取り扱い)

本プロジェクト参加者から管理人へ譲渡されたJ-クレジットは、管理人の選択により、次の各号のいずれかに活用するものとする。
(1)他者への販売などを通じて金銭に変換し、参加者への分配等に供する。
(2)カーボンオフセット等、J-クレジット制度において認められた範囲で管理人が活用する。

第7条 (プロジェクト参加費等)

本プロジェクトへの参加費、年会費等は無料とする。

第8条 (プロジェクトの実施期間)

本プロジェクトの実施期間は、J-クレジット制度が定めた期間に準ずる。

第9条 (免責事項)

当該水田において、水稲および米の収量減少や品質低下、土壌の変化等、何らかの損害が発生した場合、本会ならびに管理人は、その損害に関し、一切の責を負わないものとする。

第10条 (計測データ等の取り扱い)

第4条(3)(4)(5)および(6)に基づき、管理人が会員から提供を受ける情報(以下「計測データ等」という。)は、以下の通り取り扱うものとする。

KSASに関する
営農データ、稼働データ 
KSASサービス利用契約に関する会員規約に従う。
WATARASに関する
営農データ、稼働データ 
ほ場水管理システム「WATARAS」データ取扱い約款に従う。 
上記以外の情報 ①IoT製品を含む製品開発、サービスの提供および事業展開 

②管理人よる利用機械の稼働状況のご案内、メンテナンスの案内およびメンテナンスへの活用 

③サービスや利用機械の利用実態、収穫された作物等について、統計的分析および市場動向分析の実施 

④お買い得情報、セール・行事、新商品のご案内、広告等の実施 

⑤会員との連絡 

⑥その他、農業又はこれに関連する事業全体の発展に寄与する研究開発および実証実験、乙が運営する農業関連事業の生産性向上のための分析等 

第11条 (本書の変更)

管理人は、参加者の承諾を得ることなく、第2条に定める目的に反しない合理的な範囲で、本書を変更することができる。この場合、管理人は、原則として、変更後速やかに、個別通知又は管理人のウェブサイトへの掲載により、参加者に対して変更後の本規約の内容及びその効力発生時期を通知するものとする。

2023年5月19日 制定
2024年4月25日 改定
<改定内容>第4条(プロジェクト参加条件)9項に、プロジェクトの移転についての例外を規定。