農業ソリューション製品サイトトップ > 営農情報 > 鉄コの教室 > お客さまの声 > 良食味米をつくるために、秋起こしを実施! 今年の課題を活かして、来年度は収量アップを目指します!
今年の水稲の収穫を終えた「農事組合法人みずほ」様のほ場では、11月4日に秋起こし(秋耕)が行われました。良食味米を目指す組合では、次年度の水稲のために、この時期、必ず秋起こしを行います。一年間を通じて密着取材をさせていただいた年間レポートの最終回として、秋起こしの重要性と来年度の計画についてお伺いしました。
![]() |
![]() |
秋起こしをすることで稲わらの腐熟を促進させることで、来春の田起こし(耕うん)の精度を格段に向上できます。来年の水稲のため、有機物を施用すると同時に、土中に空気(酸素)を供給し、好気性微生物の働きが活発になり、有機物の分解が促進されます。この地域でも、秋起こしを全く行わない方もおり、しなくてもそれなりに米は獲れますが、良食味・高品質な米を獲るためには、必要な作業だと思います。稲わらの分解が早く進むことで、代かき時に稲わらが浮いてこないため、代かきの精度を上げることができます。そのため、直播の播種にも良い影響があります。また、鉄コーティング直播のためだけではなく、移植を含めた水稲栽培全般の収量・品質の向上のためにも、必須な作業だと考えています。
また、籾殻の処理のために、収穫後籾殻をほ場に散布し、稲わらと一緒にすき込んでいます。こうすることで、少しはケイ酸分の補充になるかなと思っています。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
今年の鉄コーティング直播栽培の収量は、目標には届きませんでしたが、品質的には一等米を確保したので、結果的には、それほど悪くなかったと考えています。管理方法の課題としては、出穂前に、田面を乾かし過ぎたかなと思います。稲の根張りを強くすることや、後作である麦のことを考えて土を乾かすためだったのですが、もう少し水を入れてやればよかったですね。さらに、今年の天候を考えれば、追肥も必要だったかもしれません。しかし、根張りに関しては狙い通りの結果で、登熟期には倒伏角度も45度程度で終わってくれました。倒伏してしまうと品質も収量的にも落ちてしまうので、この点はよかったですね。防除については、いもち病・紋枯病などが出て、適期の防除が遅れていた気がするので、自分で散布できるように、できればドローンを導入したいと思っています。
鉄コーティング直播の来年の面積は、例年通りか少し増やそうかと考えています。鉄コーティング直播のメリットは、育苗コストを削減できることです。それと、移植と比べて、一日の作業面積は倍以上こなすことも可能なのでとても楽です。鉄コーティング直播が無いと春作業が回っていきません。除草剤を一回多くすることや、水管理では少しこまめな管理や注意が必要ですが、収量的には少し下がったとしても十分採算は取れると思います。地域の田んぼも守っていかないといけませんし、これからもずっと取り組んでいこうと思っています。
![]() |
![]() |
秋起こしは各県推奨はしていますが、個々の考え方や方針によって、実施しない地域もあります。次年度の作付けの事を考えると収穫時に散布された稲わらを土壌の中にすき込むことによって、分解も早くなり、土壌改良という意味も含め良食味米をつくるには必須となる作業です。鉄コーティング直播でも、秋起こしを行うことによって、稲わらが分解され、播種時には表面に稲わらが浮き出てこない効果があります。 春先なってから行うと、生育初期に微生物が稲わらの分解を行うために窒素を急激に使うので、本来与えられた土壌にある窒素分をも取り込んでしまうことで、いわゆる窒素飢餓状態等を起こす危険性があります。このような理由から、この時期にほ場の表面に残った有機物を中に入れることは、未分解の部分を土壌の中へすき込み分解を早くすると共に、有機質の補給にもなります。天気が良く乾いたほ場ではないと稲わらの分解も進みませんので、時期としてはもっと早い時期から行うのが良いですが、福井県の天候ですとこの時期でもまだ乾いている期間もあるので時期としては十分良いと考えます。 耕深は10cm程度入っていているのでちょうどよく、秋の耕起はあまり深く起こしても意味はなく、有機物がある程度入れば良いので露出した状態で冬を越すということが無いようにすることが最適です。
籾殻を入れることは、土壌改良的な意味合いで、土壌空隙を広げること、わずかですがケイ酸分を補う事ができるなど、非常に良い作業だと考えます。薄く全面に散布する程度の場合もありますが、清水さんのほ場では量的にもかなり多く入れているので、毎年入れなくてもまとめて入れたほうが結果としてはほ場のためになります。
みずほさまの特筆すべきところは、各作業がとても丁寧で、その作業のひとつひとつに意味を持たせているところだと思います。後作の麦の関係では、落水時期を早くしたのもきちんと考えての結果でしたので、収量的には500kg確保でき、品質も1等米を100%確保しているので、水管理、穂肥などに若干の反省点はあったようですが、概ね成功だったと考えています。