農業ソリューション製品サイトトップ > 営農情報 > 鉄コの教室 > お客さまの声 > パワクロ+大型ハローで精度の高い代かき作業
額縁明きょで水管理のしやすい
ほ場づくりをしています
5月7日、サイバーハローによる代かき作業と、乗用溝切機での田面周囲の溝切り作業を行う「農事組合法人みずほ」の皆さまの圃場にお訪ねしました。「みずほ」さまでは代かき作業に、けん引力と直進安定性の高いパワクロを使用することで、直播に適した均平なほ場をつくり、また、直播のほ場では代かきの2日後位に水を張った状態で溝切り作業を行うという独自の作業体系を採用。水管理のしやすいほ場に仕上げています。
![]() |
![]() |
移植にしろ直播にしろ、代かきは全ほ場で行います。代かきの前段階の耕うんや中切り(荒代)を丁寧にしていれば、播種前の代かきは、あまり丁寧にせず、さっと仕上げる方が良い。土の中の空気の層がつぶれて却って田面の状態が悪くなってしまうからです。また、3年に一度のレーザーレベラーでの作業で田面を均平にし、代かきをしやすい状態にしています。
作業はとにかく「平らに」ということを念頭に、少し土が浮き上がったような場所はスピードを落としてゆっくりと、水の高さを見ながら作業することを心がけています。作業にはけん引力があり、田面の凹凸を拾いにくいパワクロを使い、幅広のサイバーハローを幅いっぱいに使って、ほ場内の走行回数をできるだけ減らしています。
![]() |
![]() |
溝切りは、直播、移植共に、ほ場の周囲(四辺)に行いますが、実施する時期が違います。移植のほ場は6月に入って中干しの時期、直播のほ場は代かきの2日後位にまだ水が残った状態で行います。移植の場合はほ場を乾かし根張りを良くすることが目的ですが、直播の場合は、苗立ちを良くするためにほ場の表面を乾かしたり、除草剤を効かせるために水を張ったりという水管理の作業をしやすくするのが目的だからです。
水を落とした状態で後から作業をしても良いのですが、どうしても土が固くなり、ほ場の中に山ができてしまいます。それが水を張った状態で作業すると軽減されるんです。この辺りの土質は粘土質で、代かき後、2日ぐらい土を落ち着かせると、水を張った状態でもそこそこきれいに溝が残るんですよ。
![]() |
![]() |
2年程前、水を張った状態で行っても山ができ、そこに雑草が生えてしまったので、何か良い方法はないかと考え、メーカーに依頼してバーを取り付けて改善してもらいました。そうしたら、土を横に押し出して溝の脇が平らになり、大変うまくいくようになりました。この後、3日ぐらいで播種をしますが、播種機の溝も利用して今後の水管理を行い、中干しの際には新たに溝切り作業はしません。直播の大きなポイントは水管理。とにかく排水を早く、水を溜める時も早く。そのためにこの四辺の溝は、大変有効です。雨の多い地域ですから、どうしても水が抜けない時は、暗きょも利用して調節します。
![]() |
![]() |
鉄コーティング直播の場合は田面の均平が非常に大切ですので、凹凸ができないようにきちんと仕上げないといけません。播種前の代かきが最も大切ですが、荒代かきをあまり雑に行いますと、田面に凹凸ができます。すると、本代をかいている時に機械がバウンドしたりしますから、両方とも気を配りながら仕上げるよう注意が必要です。ただ、あまりにもていねいに本代をかくと、土が細かくなりすぎて種籾が沈んでしまいますので、表面は粗く仕上げて土の締まりを良くすることが必要です。「みずほ」さまの場合は、耕うん、荒代の段階で丁寧にきちんとほ場を均平にし、最後はさっときれいに仕上げるという合理的なやり方です。
溝切りについては、過去の経験を活かして実施されているかなり珍しい例だと思いますが、生育中期の中干しの時に、額縁明きょを施工する手間を省けるという意味もあると思います。今の時期からほ場の周囲にしっかりと溝が出来ているので、播種時に切る溝との相乗効果で、生育段階での水の調節が簡単にできると思います。全体的な水の掛け引きには、こういうほ場周囲の深い溝は効果的だと思います。