みどりの食料システム戦略とは
近年、我が国の農業においては、生産者の減少・高齢化が進み、生産活動の脆弱化が懸念される中で、地球温暖化による気温の上昇や局所的な記録的な豪雨等の気象災害が頻発するなど、その持続可能性への懸念が高まっています。
また、国際的にも、農業を含むあらゆる産業において、SDGs(持続可能な開発目標)や環境を重視する動きが加速していることから、我が国においても的確に対応していく必要があります。このため、農林水産省では、2021年5月に、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するための政策方針として、「みどりの食料システム戦略」を策定しました。
みどりの食料システム戦略における、農業生産に関わる主な2050年目標
1農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現
2化学農薬使用量(リスク換算)の50%低減
3輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量の30%低減
4耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ha)に拡大
みどりの食料システム戦略におけるKPIと目標設定状況(抜粋)
「みどりの食料システム戦略」においては、農業生産の場面だけではなく、食品ロスの削減や食品製造業の生産性向上などを含め、
食料システム全体にわたり、2050年を目標年次とした目指す姿とKPI(重要業績評価指標)が設定されています。
出典:農林水産省資料
みどりの食料システム法とは?
みどりの食料システム戦略の実現に向けて、2022年7月には「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律」(みどりの食料システム法)が施行されました。みどりの食料システム法は、環境と調和のとれた食料システムの確立に関する基本理念等を定めるとともに、農林漁業に由来する環境負荷の低減を図るために行う取組に関する計画の認定制度を設けています。
みどりの食料システム法における計画認定等の枠組み
基本方針:農林水産大臣が定めた環境負荷低減事業活動(土づくり、化学農薬・化学肥料の使用低減又は温室効果ガスの排出量の削減等)の促進の意義、目標等に関する基本的な方針
基本計画:基本方針に基づき市町村と都道府県が共同して定めた環境負荷低減事業活動の促進に関する基本的な計画
環境負荷低減事業活動実施計画等:生産者やモデル地区の環境負荷低減に関する取組に関する計画基盤確立事業実施計画:生産者だけでは解決しがたい技術開発や市場拡大等、機械・資材メーカー等の取組に関する計画
基盤確立事業実施計画:生産者だけでは解決しがたい技術開発や市場拡大等、機械・資材メーカー等の取組に関する計画
農業者は、本制度に基づく計画認定を受けることで、税制特例や無利子融資等の支援措置を受けることがで きるほか、補助事業の優先採択を受けられるといったメリットがあります。
みどりの食料システム法の認定による支援措置等
※融資の金利表示は令和5年5月現在のもの
※融資の利用に当たっては、別途日本政策金融公庫等による審査が必要