座ったままの収穫体系を実演!乗用型たまねぎピッカー お気に入りに追加
中・大規模産地に向けて乗用型たまねぎ収穫体系を提案 クボタ乗用型たまねぎピッカー KOP-1R
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国産たまねぎの端境期である夏場の出荷が可能な東北地方で、たまねぎの新産地形成に向けた取組みが広がりを見せています。この取組みを支援するクボタグループは、7月17日・18日に、青森県のおいらせ町と六ヶ所村の2か所で、クボタ乗用型たまねぎピッカー KOP-1Rの実演を行いました。
KOP-1Rは後続する鉄コンテナ運搬車との連携によって、効率よくスムーズに作業。上北地域では、ながいもやごぼう等の連作障害対策としてたまねぎ栽培に関心が高まっており、今回の中・大規模向けの乗用型たまねぎ収穫体系の提案に注目が集まりました。

目次

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生産者の声①

青森県上北郡おいらせ町
有限会社マルショウ農園
代表取締役 後村 賢太 様
栽培面積52ha
だいこん33ha、ごぼう11ha、ながいも5ha、にんじん2ha、ねぎ40a、たまねぎ90a、ほうれんそう ハウス5棟、

東北たまねぎ産地化プロジェクトに賛同し初めての挑戦

おいらせ町は、やませの影響を受けて夏場でも涼しく、だいこんやながいもなどの根菜類に適した地域です。
近年、この地域でも高齢化から離農する方も増えてきて、担い手が少なくなってきたことから栽培面積が増えています。うちの農園では、化学肥料を減らすために緑肥を利用した栽培を増やしています。化学肥料はゼロにはできませんが、半分くらいに抑え、消費者に安全・安心な野菜を届けたいとの一心で農業に取り組んでいます。
たまねぎ栽培は、今回が初めての取組みです。上北地域ではたまねぎを栽培されている方は少ないと思います。昨年、東北地方でたまねぎの産地化プロジェクトを推進されている双日農業の吉川さんからと話をいただいたことがきっかけです。たまねぎは輸入量が一番多い作物で、それを国産化したいと聞いて、自分も少しでも自給率を上げるようなお手伝いをしたいと思って農業をやっていたので、すんなりとというか、いいなと思って始めました。栽培に関しては、この地域では先駆的にたまねぎの取り組まれている六戸町の川村青果さんと情報交換を行いながら、色々と教えていただきました。

クボタたまねぎ掘取り機KOD-1による掘取り作業

クボタ乗用型たまねぎピッカーKOP-1Rによる拾上げ作業

乗用型たまねぎピッカー追従仕様運搬車 XVT500

マルショウ農園で行われた乗用型たまねぎ収穫体系の実演では、約50aのたまねぎほ場を掘取り、拾上げ、鉄コンテナ運搬まで実働7時間(調整時間含む)で行った

ロスが少なく、たまねぎにを傷つけないKOP-1Rの拾上げ作業

たまねぎの収穫体系は初めて見たんですが、クボタ乗用型たまねぎピッカー KOP-1Rは、機械自体の大きさも運搬するのに、ちょうどよいサイズだと感じました。操作的にもだいこんやにんじんとかの収穫機と操作レバーとかも似ていたので、操作はしやすそうです。拾上げ作業は、拾い残しとか機械で削れたとか、そのようなロスは少なくて精度の高い機械だと思います。しかもたまねぎを拾い上げる部分に柔らかいゴム部品を使っているので安心感がありました。
たまねぎは、作りやすかったという印象です。私がねぎを栽培していて農薬が似てたので、病害虫の管理に関しては大丈夫でした。ただ、雑草の管理が大変だったので、その対策が今後の課題ですね。野菜作で特に大変な作業は、収穫・調製作業なので、その部分が機械化されているたまねぎはやっぱり魅力的な品目です。今回、クボタさんのおかげで実際に拾上げ作業が見れたので、作業体系のイメージができました。これからどんどん面積を広げていければと思います。

ゴムや樹脂を採用することで、たまねぎを傷つけないKOP-1Rの搬送部

たまねぎ栽培導入のきっかけとなった双日農業の吉川さん(写真右)とKOP-1Rによる収穫体系を確認する後村さん

生産者の声②

青森県上北郡六ヶ所村
株式会社石久保農園
代表取締役 石久保 春彦様
経営面積25ha
ながいも5ha、ごぼう5ha、だいこん5ha、にんじん3ha、キャベツ1.2ha、かぼちゃ 20a、たまねぎ2a 他

連作障害対策として新たな輪作作物としてたまねぎを検討

ながいもとごぼうをメインで作付けしていますが、この地域でも、化学農薬の使用を減らしていく方向にある中、連作障害が課題となっています。輪作した時に、ネギ科のたまねぎは、ながいもとの相性が良いと聞いていますので、今、ごぼうに代わる作物としてたまねぎを勉強中です。
これから新しい作物をと考えた時に、作業が機械化されてるたまねぎは取り組みやすい作物です。そういうことも考えて、実は、私はわざとたまねぎには手を出さず、後継者である息子のために残しておいたんです。これから一緒に広げていきたいと思っています。

青森県六ケ所村の石久保農園で行われたKOP-1Rの実演(約2a:7月18日)

奥様の恵美子さん(写真右)と一緒にKOP-1Rの拾上げ作業を見る石久保さん

KOP-1Rは作業効率と座って行う選別作業が気に入りました

たまねぎは試験的にかぼちゃ畑に2a栽培しました。今回、クボタ乗用型たまねぎピッカー KOP-1Rを使った
収穫体系を見させていただきましたが、ピッカーに運搬車が追従する収穫体系はいいと思います。このような方法でくるのかと、新鮮さがありました。ピッカーの拾上げ作業については、たまねぎに傷がつかないような構造の機械だったので、私的には十分満足しています。特に座って行う選別作業が気に入りました。しかもたまねぎと一緒に搬送された石や土塊などは、(分離コンベアで)自動で除去され、とても楽です。作業時間も、今回ほどの面積なら30分も掛からないので、作業能率は高いと思います。ただ六ケ所村は平坦な畑ばかりではなく、30度ぐらいの傾斜の畑もありますので、勾配が強いところでどのように作業できるか見てみたいですね

中規模産地にはKOP-1Rのような機械が必要

KOP-1Rのような中規模産地向けピッカーは、私は必要だと思います。個人でなく集団で導入すれば効率的な作業につながります。今回は、小区画ほ場で作業しましたが、大区画ほ場では、それなりに大きな機械が欲しくなると思います。ただ、北海道ではないので、KOP-1Rなら、この地域のような中規模産地に充分に対応できます。よくぞ、このような産地規模で使える機械を開発してくれたと思います。

試験的に栽培した2aのほ場をKOP-1Rで約30分で作業完了

座って選別作業ができるKOP-1R。手元のゴミ捨てシュートに不良たまねぎを捨てられる

排出シュートは電動油圧シリンダで上下に、手動で左右に振ることができる

運搬車で運ばれてきた鉄コンテナをローダーでほ場の外に搬出

生産者の声③

青森県上北郡六戸町
有限会社川村青果
営業部長 川村 毅彦 様
経営面積70ha
だいこん10ha、にんじん30ha、ながいも5ha、 ごぼう10ha、ばれいしょ 8ha、たまねぎ7ha
生産委託60ha
だいこん50ha、長いも5ha、ごぼう5h

従来のピッカーでは真似できないKOP-1Rの作業能率

マルショウ農園の後村さんとは、最初にお会いしたのは地域の講習会で、同じ青果業のビジネスパートナーとして長くお付き合いをさせていただいています。私ももう6年間一生懸命たまねぎのことを勉強して取り組んできましたので、後村さんが今回初めてたまねぎ栽培に取り組むということで、スマホの共有アプリを活用して、栽培技術や病害虫等の情報を共有するなど、サポートしてきました。収穫されたたまねぎは、球のサイズも大きく収量も4t以上でかなり良い結果だと思います。たまねぎへの熱意や思いが伝わればやっぱり畑に現れてくるんですね。

クボタさんが提案された収穫体系は、茎葉処理機OCK-1、堀取り機KOD-1、そして乗用型たまねぎピッカーKOP-1Rを使った乗用型体系でした。拾上げ作業の現場では少人数でも作業ができる体系が見られたと感じました。北海道のような大規模でもなく、本州の新興産地のような小規模でもない、50aから1haのほ場を持つ中規模産地にマッチングする収穫体系だと思います。KOP-1Rの持っているポテンシャルの高さ、作業の速さは、他の機械では真似できないと思います。弊社が保有しているピッカーでは、1日頑張っても20~30aです。マルショウ農園で見させていただいたKOP-1Rの拾上げ作業は、50aを1日かかりませんでした。全体のオペレーションが整えば、1日に1haは可能なピッカーだと思います。

プロジェクト関係者の声

岩手県盛岡市
双日農業株式会社
取締役補佐 吉川 保 様

今までになかった中規模向け乗用型ピッカー

新規でたまねぎ栽培を始める際に、収穫体系をどうするかは大きな悩みポイントになります。現在、ピッカーのサイズは、小規模栽培に対応する歩行型と北海道を中心として広がっている大型のピッカーが主体であり、その間を埋めるサイズがあまりありませんでした。今回クボタが提案されているKOP-1Rは、まさにそこをターゲットにされている機械です。加えて、拾い損ねがちである小さなサイズのたまねぎも洩れなく拾ってくれました。また、収穫時にタマネギを傷つけないような素材や機工となっているとも感じ、ピッカーとしての能力は非常に優れていると感じました。
運搬車との連携作業体系については、ピッカーに追従することで、どうしても人員が1人追加になってしまうという点があります。また、タマネギで満載となった鉄コンテナ交換作業にもある程度の時間を必要とします。
そのため、運搬車を2台交互に連携することができれば、作業効率上はぐっと上がると感じます。運搬車の操作に2名確保することが出来れば、大型ピッカーを準備するよりも調達コストを抑えられます。 また、ほ場周辺の環境によっては、大型の機械を運び込むことができないケースも多々あります。KOP-1Rは2tワイドロングのトラックでも運搬ができるため、機動性にも優れており、まさに中規模栽培・中規模圃場向けにかなり活躍すると感じました

クボタ技術顧問の解説

株式会社クボタ
担い手戦略推進室
技術顧問
菊池 昌彦

中・大規模向けの乗用型たまねぎ収穫体系のご提案

たまねぎの収穫体系において、北海道では10haを超える大規模農家向けに大型の乗用型のピッカーが主流ですが、本州では多くの産地で歩行型のピッカーが使われています。本州の各産地では作付面積3haを超えるような農家が増加しており、歩行型での作業では労力負担が大きくなっています。そこで、省力・効率化のために中・大規模農家向けの乗用型収穫体系の確立が求められています。クボタでは茎葉処理機、掘取り機を販売しており、乗用型たまねぎピッカーを開発することで、中規模向け乗用型収穫体系の実現を目指しました。

作業効率が歩行型ピッカーに比べて最大3倍向上

2024年3月に発売されたクボタ乗用型たまねぎピッカー KOP-1Rは、乗用型ピッカーが欲しい、作業効率を上げて作業時間を短縮したいなどの声に加え、拾上げるときに石や不良たまねぎ等のゴミを入れたくない、たまねぎに傷をつけたくないなどお客様のニーズに応えて開発しました。KOP-1Rは、従来からある歩行型ピッカー※だと、10a当たり1.5時間から3時間ぐらいかかる拾上げ作業を約1時間で行うことができ、2~3倍の効率的な作業が可能です。しかも搬送経路にゴムや樹脂材を採用することで、たまねぎに傷がつきにくく、ロスが減少する仕組みとなっています。また、従来の歩行型ピッカーだと排出用のリフトコンベアをオプションで取り付けて鉄コンテナにたまねぎを落としていく仕様でしたが、KOP-1Rは最初からリフトコンベアがセットされています。作業体系は、歩行型と同じく追従型運搬車と連携する形となりますが、乾燥施設の問題や運搬車を既にお持ちのお客様もあり、北海道のような大規模産地化する手前の今までになかった中規模産地ニーズに応えるピッカーです。※KOP-1000

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SR240717_青森県たまねぎピッカー

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