8月30日、島根県邑南町において、島根県農業技術センターの主催で、乗用管理機によるブロッコリーの中耕培土実演会が行われました。中山間地域にある町内の2会場で開催された実演会には、地域の生産者や農業関係者が数多く集まり、クボタ乗用管理機ナビライダーNR17による中耕除草・培土同時追肥作業を見学しました。特に、戸河内会場は、全国農業システム化研究会の現地実証調査ほ場で実施され、水田を活用したブロッコリー栽培において、乗用管理機による定植後の中耕培土作業の軽労化を提案し、関係者の熱い視線が注がれました。
実演会の目的
島根県農業技術センター
水田園芸技術普及課
主任農業普及員 佐々木 真一郎 様
中山間地域での乗用管理機導入の可能性を探る
中山間地域にある邑南町では、新たな品目としてブロッコリー栽培が取り組まれています。この地域では、農業に従事する方が減少しており、農事組合法人についても高齢化が進んでいます。ブロッコリー栽培の中耕培土作業は、現在、歩行型管理機を使って作業していますが、高齢の方には重労働で、「身体への負担を減らしたい」という要望が寄せられています。そこで、ブロッコリー栽培の作業省力化を目的に、この地域における乗用管理機の導入の可能性を探るために、乗用管理機による中耕培土実演会を開催しました。
戸河内地区の(農)いいとも様のほ場で行われた乗用管理機の実演会
うね形状に合わせてインプルメントを変更して行われた出羽地区での実演会
生産者の声
島根県邑南町
農事組合法人いいとも
代表理事 住田 孝重様
栽培面積
水稲:3.2ha、
露地野菜:1ha(ほうれんそう、ブロッコリー、広島菜)
歩行型管理機で行う中耕培土は高齢者には重労働です
ブロッコリー栽培に取り組んで5年目になります。重点品目として県も推進していますし、JAしまねからもブロッコリーの産地化を目指して力を入れたいとの要望もあり、私たちも新たな品目としてブロッコリーに取り組んでいこうと決めました。今、春植えが20a、秋植えが30aほど栽培しています。中耕除草作業は、JAリースで借りているねぎ用の歩行型管理機で行っています。JAの営農課の方にも相談するんですけど、ブロッコリーのほ場には、ハキダメギクという草が繁茂するんです。除草剤は定植前に1回散布しますが、それが効ききません。小さなうちに除草しておかないとすぐ草丈が50 ~ 60㎝になり、ブロッコリーの生育に悪影響を及ぼします。作業は管理機でうねの両端を削っていくという感じですが、土がかかりすぎたり、なかなかうまくいかないことが多いですね。高齢者にはきつい作業です。
2時間の作業が乗用管理機なら15分で完了し驚きました
今回、乗用管理機ナビライダーによる中耕培土の実演を見させていただきました。うねの両端だけを削るだけでなく、条間も除草していき、なかなかいい機械だなと思っております。実演ほ場は8aほどの小さなほ場ですが、ここでの中耕培土の作業は、歩行型の管理機なら、アルバイトの人と一緒に作業しても2時間程度かかります。それがナビライダーなら15分もかからずきれいになったのですごいなと驚きました。それに小さなほ場では乗用管理機は大き過ぎるのではと思いましたが、移植機のうね幅であれば、ナビライダーのような小回りが利く乗用管理機なら、十分作業できるということが実感としてわかりました。高齢化が進む中、中耕培土のような作業は、今までのように管理機で歩きながら行うというのは体力的にも大変なので、乗用型管理機はとても魅力的です。
クボタ乗用管理機ナビライダーNR17での実演
担い手の高齢化で作業が軽労化できる乗用管理機に期待が高まる
ほ場間を公道走行で移動できることは大きなメリットです
個人的には、乗用管理機のタイヤの痕が残り、そこへ水が溜まって逃げないようになることを危惧していましたが、それもなくほ場は作業後も綺麗でした。前後のタイヤが動き、カニさん歩きみたいに進んでほ場を荒さないので、クボタさんは、なかなか面白いものを作っておられますね。機械の説明時に、トラクタベースの乗用管理機とお聞きしましたが、私たちの管理するほ場は、ほとんどが飛び地で、まとまった場所になく、地域内に点在しているので、どうしても公道を走らないといけません。管理機は軽トラックに載せて移動していますが、載せてはロープで固定し、降ろしてはまた積んでという感じですので、その時間もかなりかかります。トラクタベースのナビライダーは、そのまま公道走行できるのは大きなメリットだと思います。
関係団体の声
JAしまね
島根おおち地区本部
営農部 営農企画課 益田 佑一 様
ナビライダーは非常に小回りの利く乗用管理機だと思います
邑南地区は中山間地域ですので、四角い大きなほ場が少なく、棚田や小さな水田を活用した畑作が展開されている地域です。今回、実際にナビライダーの実演を見て、非常に小回りの利く機械だなというのが最初の印象です。このような中山間地域の小区画ほ場で、とても活躍できる機械だと感じました。
基本的には、管内でのブロッコリー栽培における中耕培土作業は、歩行型管理機を使ってご自身の手で押して歩いて作業するという形になりますので、これが乗用機械となると非常に楽になります。また、既存のトラクタで乗用作業を行うとすれば、安全を確保しながら枕地部分を必要以上に大きく取ることが重要ですが、その反面、植え込む量が減り、減収につながります。このような機械を十分に使いこなせれば、効率的にほ場が使えると思います。
対応できるインプルメントが豊富なことは助かります
今日は中耕培土と追肥の同時作業の実演でしたが、対応できるインプルメントが多いことは助かります。乗用管理機ということで、やっぱり適期作業が素早くできるというメリットがありますし、必要なインプルメントをしっかり有効的に使いながら作業できれば、需要は多いのではないかと思います。
今回の実演会を通じて、JAとしても、今後、中耕培土作業の乗用化、軽労化を今後どのように提案していくか検討が必要だと感じています。そのためには、「生産者の作業に合わせること」がまず第一かと思います。乗用機械に乗れるか、乗れないかというところもありますし、ほ場の条件もあるかと思います。ほ場への乗り入れが、全てができるとも思えないところもありますので、現場を確認しながら進めていこうかと思います。あとは大規模な経営を営む生産者の方には、ご提案していきたいですね。
4WS操舵による小旋回で小さなほ場でも扱いやすいナビライダー
(農)いいともの住田代表(写真右)と情報交換する益田様
クボタからのご提案
株式会社クボタ
担い手戦略推進室
技術顧問 安達 克樹
高精度な中耕作業を実現する
トラクタベースの本格乗用管理機
クボタ乗用管理機ナビライダー
耕作放棄地の増加、担い手の高齢化が進み、比較的大きな経営規模の生産者へ農地が集積していく流れの中で、乗用管理機は、作業を効率化、軽労化できるという上で、非常に重要な機械になっていきます。ナビライダーは、「トラクタベースの基本性能の高さ」がいちばんの特徴です。安定作業、高精度な作業、高い操作性、そういった基本的な作業性能が、トラクタをベースに開発された乗用管理機ですので、非常に高いレベルにあります。例えばうねを中耕する作業一つとっても、様々な条件のうねに合わせて正確に機械を動かすことができます。この基本性能の高さが、農作業をサポートする上で大きなメリットになります。大規模生産者の場合、防除作業をブームスプレイヤやドローン散布で行って、このナビライダーを中間管理専用機とする使い方が今後は多く見られると思います。
実演会でナビライダーの特長を説明する安達技術顧問
関連商品メーカーの声①
株式会社キュウホー
営業部長
三島 康宏 様
高速作業が可能なけん引式中耕除草機S4カルチ
S4カルチは、けん引式の除草機で、PTOの駆動を使わず、単純に油圧を下げて、そのまま走ることで中耕作業が行えます。構造的にシンプルで、しかも駆動を使わない分、故障が少ないことがメリットです。また、作業速度が2 ~ 8km/hと速く、1日でかなりの面積がこなせます。野菜の中耕作業は、今でも歩行型管理機を使用される方が多いですが、ナビライダーで行うことで、作業が乗用化され、身体への負担が少なくなります。しかも歩行型は1条ずつ中耕作業を行わないといけませんが、このS4カルチは3連ですから、ナビライダーを使うことで、3条を一度に作業できるので、3倍のスピードがあると言えます。
関連商品メーカーの声②
株式会社ジョーニシ
農機推進部
店長 住吉 勇弥 様
GPS車速連動付で正確な施肥が可能サンソワーV-R05N
サンソワーは、ロール式の肥料散布機で散布精度が高いことが特長です。散布資材、散布量、散布幅に応じて、付属ロールの組み替えと、コントロールボックスの調整つまみを使って簡単に肥料調整が行えます。GPS車速連動タイプですので、10a当たりの散布量を設定した後に、ほ場やオペレータが変更になっても、指定した肥料散布量を正確に散布することができます。また、様々な作インプルメントとマッチングすることも大きな特長です。ナビライダーも対応できるインプルメントが豊富ですので、サンソワーと様々なインプルメントを組合わせることで、多彩な作業と同時に施肥することが可能になります。