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超幅狭トラクタJB13XNMで京野菜えびいもの未来を守る

超幅狭トラクタJB13XNMで京野菜えびいもの未来を守る

 えびいもは、さといもの一種でえびのような形に縞模様があることからえびいもと呼ばれるようになった京野菜です。京都府福知山市はえびいもの栽培地域でしたが、高齢化に伴う労働力不足により2019年にはピーク時の1割以下まで栽培面積が減少していました。えびいもは収穫までに何度も土入れを行うため、担い手となる高齢者に負担が大きいことが、生産者減少の最大の要因です。府の推進活動により現在は徐々に栽培戸数が拡大していますが、より省力・軽労化を図るため、半田営農株式会社と京都府中丹西農業改良普及センター、北陸近畿クボタが協力し、えびいも栽培の土入れ作業等を超幅狭仕様の小型トラクタJB13XNMで行い機械化を図る実証調査が、2021年より行われています。

 


 

お客様の声

夏場の暑い時期に省力・軽労化が図れることが最高のメリットです

 えびいもの栽培を取り組むきっかけは普及センターの黒川さんからの提案でした。京の伝統野菜であるえびいもを福知山で衰退させたくない、栽培面積の拡大をしたい、という熱い想いを受け取り、2021年からえびいも栽培に取り組んでいます。歳を取ると、夏場の暑い中で長時間の作業はとても大変ですが、JB13XNMを活用すれば、早くできるし、とにかく力がいらない、それが最高のメリットです。

 今年えびいもの管理に力を入れて取り組んだ結果、立派なものが収穫できたと感じています。JB13XNMは一つの作業だけではなく、色々な作業ができて汎用性が高く、導入する価値がある機械だと実証を通じて感じました。

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実証担当者の声

JB13XNMでの機械化実証でえびいも栽培の生産拡大のきっかけにしたい

伝統的な京野菜を地域で継続させるため機械化による作業を考えました

 担い手を地域に呼び込むための活動や、京野菜栽培技術指導などをしている中で、地域でえびいもを栽培している農家が減少していることが見えてきました。管内のえいびいも生産者に話を聞いていると「土入れ作業は身体への負担が大きく、年を取ると土入れができないので辞めるしか無い」とおしゃっていたので、なんとか省力・軽労化する方法は無いかを模索していました。

 ちょうどその頃、北陸近畿クボタから超幅狭トラクタJB13XNMと土入れアタッメントをご提案いただき、えびいもの栽培にも活用できるかもしれないと考え、地域の担い手である半田営農株式会社と北陸近畿クボタのご協力のもと、えびいも栽培における機械化実証を進めることとなりました。

福知山は、水稲の作付面積が多い地域ですが、収益を上げるために、いも類、豆類に力を入れて取り組んでいることが特長です。えびいもは高収益作物なので、機械を導入することにより省力・軽労化を図ることで、麦に代わる新たな品目として集落営農組織や大規模経営体に、提案できるのではと考えています。

JB13XNMは幅広い作物に適応できる可能性があり
他の京野菜でも活用できると思います

 1年間実証を行って、えびいも栽培で一番大変な作業である土入れをすべてJB13XNMで行ったことにより、かなり楽になったと感じました。また、JB13XNMはモンロー機能が付いているため、土入れを重ねるたびに狭くなったうね間でも、トラクタが傾いて揚げる土の量が左右で異なったりすることはなく、均一に精度の高い土入れを行うことができました。

 懸念していたせみ芋(※ほかの芋とくっつき扁平しているいも)は出ましたが、良い形のえびいもも多くありましたので、つらい夏場の作業の省力・軽労化を図ることができ、なおかつ栽培面積を拡大することができれば、せみ芋が出ても問題ないと思います。

 実証を行う中で、ほかの野菜と組み合わせてこのトラクタ1台で、何品目も栽培できる可能性を感じているので、今後はえびいも以外の京野菜でも実証を行ってみたいと思います。

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クボタ技術顧問の解説

京の伝統野菜を新しい機械化体系が守る将来像が描かれました

 えびいもの栽培面積拡大にJB13XNMの活用は効果的です

 京の伝統野菜の一つである"えびいも"は、一般のさといも品種ではマルチ栽培が主流となる中、えびいもの品種特性とそれに起因する特殊な栽培管理方法のため、育苗した苗を無マルチで本圃へ植え付けた後、4回もの土入れ(培土)を行う独特の栽培方法が行われています。これまで、えびいも培土作業は主に手作業で行われており、特に夏場の土入れとなる3回目から4回目ではうねの高さが高くなることと相まって、作業時間が長く重労働となり、大きな課題でした。また、このことが1農業経営体当たりのえびいも栽培面積の拡大を困難にしていました。

 今回、京都府中丹西農業改良普及センターが中心になって実施された福知山市の半田営農株式会社様ほ場での土入れ作業を4回目まで全て超幅狭トラクタJB13XNMを活用して行う新しい栽培管理体系は、当センターの普及指導員の皆様からの評価も高く、農業生産者の減少と高齢化が進む中で、伝統野菜の生産を守る新しい機械化体系の将来像がイメージできました。

JB13XNMの活用による新しい機械化体系に期待が膨らみました

 11月8日に現地ほ場で収穫時の試し掘りをさせていただきましたが、この時のJB13XNM活用型の栽培区域のうねの形状はうね間150㎝、うね高さ約40㎝となっていました(写真①②③)。えびいも栽培のうねの大きさを実感するとともに、JB13XNMを用いた土入れ作業の実用性が証明されていました。

 私自身たいへん勉強になったのは、えびいも品種の特性として、親株と子株が適度の距離となるように土入れを行えば、収穫芋の形状品質を高めることができ、出荷規格評価の低い「せみ芋」(写真④⑤⑥)数を減らすことにもつながる、という黒川普及指導員からの説明でした。このような特異な特性を持つ伝統野菜の品質を維持しながら生産を守り発展させることの重要性を認識しました。

 今回の機械化体系実証栽培で府普及機関様から高評価を得たことで、今の農業を取り巻く諸情勢の中で、京の伝統野菜の生産を守る新しい機械化体系が提案されたばかりでなく、これまで困難であった、1農業経営体のえびいも栽培面積の拡大をも可能にする技術になるのでは、と期待が膨らみました。

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実証で使用した機械

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