スマート農業実証プロジェクト 現地レポート

スマート農業加速化実証プロジェクト

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稲|

スマート農業技術体系を確立させ、 目指すは100ha超の大規模水田経営

スマート農業技術体系を確立させ、 目指すは100ha超の大規模水田経営

農事組合法人 神崎東部様は、「低コスト化水田農業大区画ほ場整備事業」により大区画ほ場が整備されたことを機に2000年に任意組合としてスタートし、2012年に法人化されました。現在、9名のスタッフで85haの水田をフル活用し、稲・麦・大豆の二毛作のブロックローテーションを展開しています。

 


 

 2019年3月に採択された、「水稲の収量向上」「コスト削減」「作業時間の短縮」を柱とする「千葉県香取地域における大規模水田輪作体系のスマート農業実証」に実証農場として参画。スマート農業技術を活用して、作業の効率化や経営の安定化の実証に取り組んでいます。

スマート農業技術を活用して、
農業を「魅力ある職業」として定着させていきたい!

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地域に先駆けてKSAS・スマート農機を導入

 国が「スマート農業」の方針を示す前の2014年にKSASを導入し、収量・食味センサ付きコンバイン、直進キープ機能付田植機などスマート農機を経営に取り入れていたので、この実証プロジェクトが始まる前にデータの基盤ができあがっていました。ちょうど後継者を受け入れるタイミングと重なり、彼らにとって、新しい機械・新しい技術は難なく受け入れられるものだったので、すんなりと事業をスタートできたわけです。

KSASデータを活用し、コスト低減を実現

 KSASの優れた点は、ほ場の地質や状態、地力といったものがほ場一枚ごとに表れるので、肥料や農薬を無駄なく施せることです。かつては地力の有無にかかわらず10aあたり20㎏というように一定量を施していましたが、今では土壌に適した肥料や資材をほ場ごとに必要な量だけ投入できるので、コスト削減が実現しました。現在、85ha作付けていますので、コストの差は明らかです。

スマート農業に低コスト稲作を組み合わせて実証

 2年目の今年はアグリロボトラクタSL60Aの「オートステア機能」を使って代かきを行ないましたが、初期設定も簡単で、しかも短時間で作業を終えることができました。従来の代かきは濁った水のせいで進む方向を見失いがちでしたが、今回はGPSで無駄なくまっすぐ走りました。あれほど正確な作業は人の技能では追いつかないですね。また、ほ場水管理システムWATARASの実証も本年は春から実施しています。私たちは、低コスト稲作を目指して7年前から「鉄コーティング直播」に、そして昨年からは「乾田直播」に取り組んでいます。直播の場合、播種後の水管理が難しいのですが、今回電動アクチュエータを直播ほ場にも設置し、水管理を遠隔操作できるようにしました。WATARASの効果に大いに期待しています。

目標は経営面積100ha!

 直近の目標は、経営面積を100haまで拡大することです。スマート農業技術を活用すれば、スタッフを増やさずに規模拡大できて、コスト削減を図ることも十分可能だと考えます。地域の農業を活性化するためにも、若い人に積極的に農業に携わってもらいたいとかねがね思っています。先進の機械を活用しながら農業を「魅力的な職業」として定着させ、他産業に引けを取らない収入を得られる職業となるよう、経営管理をしていきたいと思います。

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実証1年目は、スマート農機4種類で実証
食味・収量メッシュマップコンバインで得たデータを、2年目は
可変施肥田植機に反映

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 昨年の実証プロジェクトでは、アグリロボトラクタSL60A、GPS連動直進キープ機能付田植機、農業用マルチローター、食味・収量メッシュマップコンバインの4機種を中心的に実証しました。
 アグリロボトラクタは、秋の耕耘作業において無人機と有人機の協調作業によって、実作業時間を50%削減できることが確認でき、直進キープ機能付田植機では、GPSを利用した株間・施肥量キープ機能により、計算通りの施肥量と苗箱数で作業できることを確認しました。

 また、農業用マルチローターについては、85haに様々な品種を栽培している実証ほ場では、それぞれの品種と時期に合わせた防除が必要です。農業用マルチローターを用いて適期散布することによって非常に高い防除効果を得られることが確認できました。従来の無人ヘリによる一斉防除と比較し、年間65万円の経費削減効果が得られました。食味・収量メッシュマップコンバインによる収穫で収量データを得られたので、今年度はGPS連動直進キープ田植機の可変施肥機能にデータを反映させました。成果は、この秋の収穫で明らかになりますが、昨年を上回る収量を確保できることを期待しています。

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スマート農業の今後の展開を見据えて、
良い結果を残せるようにコンソーシアム一丸で取り組んでいます

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 スマート農業実証プロジェクトの実証を通じて「良い結果が出た」という機械があれば、普及を進めるために、国の方でプログラムを組んでいくことになります。また、千葉県でも、スマート農業についての方向性を、今回の実証プロジェクトと平行して計画立てしています。何年か後には補助事業や色々な形で事業展開されていくと思います。今回の実証は、そのスタートラインだと考えて、「これだけ良い結果が出ました」という成果を残せるように、コンソーシアムが一丸となって取り組んでいるところです。秋の豊作が楽しみです。

関東甲信クボタ 実証ほ場でスマート農業実演会を開催!
稲麦大豆の大規模経営体にスマート農業を提案

 6月12日、千葉県神崎町にある農事組合法人神崎東部様のほ場において、関東甲信クボタ主催の「スマート農業麦刈り実演会」が開催されました。新型コロナウイルス感染拡大により、展示会、実演会が自粛されていましたが、緊急事態宣言の解除後、初めての実演会の開催となり、万全の感染防止対策を施しての実施となりました。通常は300名規模のイベントですが、今回は感染防止が考慮され、通常の10分の1となる30名程度の動員になりました。招待されたのは、水稲・麦・大豆栽培に取り組む大規模農家で、今回のご提案が営農の課題解決に直結する方々です。
 「神崎町スマート農業実証プロジェクト研究会」の実証ほ場での開催であったため、ご来場の皆様には、スマート農業技術の導入事例を観察しながら、数々のスマート農機を体感していただくことができました。特に注目を集めたのは、直進アシスト機能が付いた新製品のスラッガーSL600GS。試乗していただいた方からは「直進機能がスゴイ!」「利便性が高い」「次に買うならGSだね」といった高い評価の声が聞かれました。小規模での実施であったことがお客様へのより丁寧な説明につながり、きめ細かい情報交換が実現した有意義な実演会となりました。

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大規模営農の課題解決に
「スマート農機による新しい作業」をご提案しています

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 農業経営の大規模化が進む中、お客様の課題を解決する「新しい作業」を提案することが我々の役目だと感じています。特に、これからはスマート農業技術の提案は不可欠です。農事組合法人 神崎東部の実証ほ場をお借りして開催したのは、ここでの先進の取組みをご来場者に見ていただき、スマート農機への関心を高めてもらう目的もあってのことです。神崎東部さんのご協力もあり、スマート農機を使った作業効率の良さや労働時間の短縮、作業精度の向上などを皆さまに実感していただくことができました。今後はコロナウイルスと共存しながらの活動が求められますので、今回のような小規模な実演会を繰り返し行い、お客様に新しい提案を続けていきたいと思います。

大規模農家に限らず
新規就農者や高齢者にもスマート農機が役立つと思います

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 「規模拡大」が第一の目標ですので、1日にこなせる面積を増やすことが、今一番の課題です。それを解決するために「プラウ耕体系」に移行しようと考えています。今日来場した目的は、プラウの他にスタブルカルチなどのインプルメントを実際に触ってみることでしたが、目当ての機械が並んでいて大満足です。現在、新規雇用を計画しているのですが、新規就農者には高い技術を必要としないスマート農機が役に立つと思います。近年、このあたりでも稲作農家の高齢化が進んで地域に元気がないと感じています。近い将来にスマート農業技術を導入して栽培面積を拡大し、地域の力になる農業を目指したいと思います。

千葉県香取地域における大規模水田輪作体系のスマート農業実証

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