自動運転技術によって農作業の軽労化と精度向上を実現し、農家の皆さまの収益拡大に貢献したい。熱い想いは、トラクタの開発にも共通しています。小規模農家や野菜作農家の方にも使っていただきやすいトラクタとして誕生したのが、直進アシスト機能搭載の小型トラクタNB21GS。開発を担当した川井美紗子さんにお話を聞きました。
(この記事は、2019年8月発行のクボタふれあいクラブ情報誌「ふれあい」40号を元に構成しています。 )
不慣れでも操作しやすく まっすぐ進む小型トラクタ
「高齢化や人手不足といった国内の農業が抱える問題の解決に、農機からアプローチしたいというのが開発の背景です」と川井さん。
直進アシスト機能を使うと、機械操作に不慣れな人でもまっすぐ作業することができます。
「小型トラクタにもこの機能を搭載することで、より身近に使ってもらいたいですし、『スマート農機といえばクボタ』というブランドイメージの定着にもつなげたい」と話します。
クボタは2016年から田植機、トラクタなどのスマート農機「ファームパイロットシリーズ」を発売。なかでも、直進キープ機能を搭載した田植機は好評で、NB21GSはこの田植機の機構を小型トラクタに適応させたもの。長い距離を低速で動くトラクタはそれだけズレが出やすいため、作業中のズレを直す補正スイッチを追加。初めての人でも使いやすいように画面モニターで案内する工夫のほか、畑作に必要な作業に対応するため、様々な制御機能を搭載しています。
シンプルで使いやすく丈夫な農機作りが目標
開発段階で農家やディーラーで使って評価してもらい、様々な土の状態や傾斜で自動操舵の性能を細かくチェック。枝豆、レタス、白菜、芋、タマネギなどの畑で試験を繰り返しました。
「苦労したのは、必要な機能を本体にどう収めるか。試作品ができた時、そして現地試験で『よくできてるね』と言っていただいた時は、本当に嬉しく達成感があります」と川井さん。
「スマート農機というだけで難しいと敬遠される方もおられますが、どなたにでも使いやすくシンプルなものを心がけて開発しています。ご家族で農業されている方、新規就農された方も、一度乗ってもらうと作業の省力化を実感していただけます。便利に使って、効率良く作業していただきたいです」。
目指すのは丈夫な農機作り。「トラクタを使って作業し、作物を収穫して初めて収入になります。機械が壊れて作業が止まらないように丈夫な機械を作りたい」と話していました。