クボタ ソリューションレポート #50
富山県|
稲|
2019年9月、富山市で水稲や大豆等の栽培を行う㈱GFM様の「水稲乾田直播(以下、乾直)」ほ場にてアグリロボコンバインWRH1200Aを使った収穫が行われました。㈱GFM様では効率的な乾直機械化体系を確立するため、3種類の播種機(高速汎用播種機、不耕起V溝直播機、不耕起汎用ドリル)を使用して実証テストをしており、7月の生育調査以降も生育は順調に進み、収量は、出穂期が慣行移植より遅いため、高温障害が回避され、慣行移植より1俵多い結果となりました。
【 耳より情報 】
❶ 播種時からほ場が固く、収穫時も足場を気にせず楽に収穫が行える❷ 慣行移植より夏場の出穂期が遅れたことで、高温障害を回避し、1俵多い収量を確保
❸ WRH1200Aの自動運転アシスト機能で初心者でも簡単に刈取りができる
㈱GFM様では経営強化を目指して、地域に先駆けて、スマート農業技術の活用を図っており、収穫時には新たに導入した自動運転アシスト機能付普通型コンバインWRH1200Aを 使用して作業を行いました。今回のレポートでは、大規模土地利用型農業を行う㈱GFM様の経営に最適な播種機の考え方と、㈱北陸近畿クボタが考える低コスト稲作の導入についてお伺いしています。
乾田直播は難しくない!
春作業の省力化・機械の汎用利用で、
稲・麦・大豆の2年3作体系に大きなメリット
省力化技術として手応えを掴んだ乾直2年目の取組み
乾直に取り組んで2年目の秋を迎えましたが、年間の栽培を通して、「乾直は難しくない」、「栽培全体のバランスが良い」というのが私の感想です。播種機による若干の違いはありますが、どのほ場も目標とする出芽数が確保され、根張りも良く倒伏もしませんでした。乾直は、ほ場を播種時からかなり乾かすため、水田期間も畑地のようなほ場状態が維持されます。稲の収穫後、すぐ麦を播種するにしても、翌年大豆を播種するにしても、移植栽培の水田からの畑輪換より容易だと考えています。水管理も、移植の場合は、収穫前のほ場地耐力を確保するため、中干しを実施し、その後も飽水管理を行いますが、乾直だとほ場が既に硬く仕上がっているので、収穫まで湛水管理ができるので水管理がとても楽でした。収穫期を迎え、穂長も長く収量についても手応えを感じています。課題は、雑草対策です。雑草がところどころ散見されましたが、これは、除草剤散布のタイミングが合えば抑えられるものです。経験を積んで、除草剤を散布する時期を見極めることで解決できると思っています。
作業効率・汎用利用の観点から不耕起汎用ドリルを導入
乾直を今後拡大して経営に組み入れていく中で、導入する機械の見極めが重要になってきます。稲-麦-大豆の作付体系では、作目間の作業可能期間が十分に確保できなかったり、各作目でも大規模に作付けしていくためには、作業効率が求められます。作業速度が早い機械でないと、時間的に大面積はこなせません。しかも、播種精度の高い、耐久性に優れた信頼出来る機械 が 必 要 で す。今回、3機種の播種機を比較してみました が、グ レ ー ト プレーンズ社の不耕起汎用ドリルが、条件を満たしており、当社の経営に合うと判断しました。今年から麦も播きますし、小粒大豆も計画しています。当然、稲も乾直で行います。これらを不耕起汎用ドリル機単体で播種していく方針です。機械を汎用利用することで、生産コストの削減にもつながるはずです。
経営改善に効果を発揮するスマート農機WRH1200A
機械の汎用利用は、播種機だけではありません。今年度からKSAS対応の食味・収量センサメッシュマップが付いた普通型コンバインWRH1200Aを導入。稲・麦・大豆の収穫に利用します。私たちは、業務用米もつくれば、食味コンクールに出すような高品質なお米もつくっています。そこで、KSAS を活用して、ほ場ごとのみならず、5~20m間隔のデータを収集。蓄積されたデータを分析することで、次年度の施肥管理に活用し、お客様のニーズに合わせた米づくりを展開していこうと考えています。また、今は、2人で作業を行っていますが、今後、経営規模がさらに拡大した時、新たに従業員を雇用することもあると思います。仮に経験の少ない方を雇用しても、WRH1200Aを使えば自動運転アシスト機能によって、熟練者のような収穫作業が行えます。これはスマート農機の大きなメリットだと思います。
目指すは、『仕事として魅力のある農業』
『地域農業の発展』は大前提ですが、それ以前に私の目指す農業は、ビジネスとして成り立つ、仕事として魅力のある農業です。新しい栽培技術、スマート農業などに取り組むのはそのためです。私は、周りの人がどれだけ「良い」と言っても、自分が「良い」と感じないとダメだと思うんです。使うのは自分なので、まずは自分で試してみる。そして本当に「良い」かどうか、自分で判断します。"実践"することが自分のモットーなのです。乾直の挑戦も、機械の選定もしかりです。ただ、技術的なことは、その道のプロである、クボタの技術顧問や販社の担当者の方からアドバイスを頂き対応しています。「自分は、1人でやっている訳じゃない。皆さんの協力があり今日があるんだ」と感じています。
■播種機別の収量結果
生産者が考える経営に適応した提案をしていきたい
田植機での低コスト稲作の他に、トラクタでの低コスト稲作はないかと模索していたなかで、乾直技術に出会い、平成22年度からパワクロに不耕起V溝直播機をマッチングさせ展開し、現在乾直の面積は県内で約800haとなっています。乾直は倒伏にも強く、過去のデータでは、こまめに追肥をすることで、移植と同等の収量またはそれ以上を確保できることが解っています。これからの米の消費動向は、高品質・良食味を求める消費者と、とにかく安ければ良いという消費者の二極化が進むと考えており、乾直は収量アップ、移植は品質を高めるように仕分けし、移植と乾直を上手く使い分けて経営に組み込むことで、収益向上が図られると考えています。
㈱GFM様も 今はそういう考えで乾直と移植を上手く使い分けられています。面積を拡大させつつ経営を維持していくには、大型機械、スマート農機の導入を考える必要があります。㈱GFM様は家族経営の組織ですが、高性能な機械やKSASなどの管理システ ムを導入して効率化を図り、省力・低コスト化して面積の拡大を図っています。今後、地域の中核的な担い手経営体に農地が集積されていきますので、栽培技術と機械面で技術顧問と共にバックアップしていきたいと考えています。また、地域の担い手となっている他の経営体でも実証ほ場を設けており、生育確認や、問題対処等、技術顧問を通じて的確にアドバイスを行っています。当社のスタッフも実証をサポートすることで、栽培技術の 知識を深めています。生産者と一緒に学んで行けることは、強みですね。
▶アグリロボコンバインWRH1200A 製品情報はこちら
→https://agriculture.kubota.co.jp/product/combine/wrh1200a/
▶お問い合わせはお近くのクボタのお店まで
→https://jp.locator.kubota.com/#Japan