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鉄コーティング直播栽培 技術開発の10年のあゆみ

クボタニュース2015/07/28

〜鉄コーティング直播栽培 技術開発の10年のあゆみ〜

鉄コーティング直播栽培 技術開発の10年のあゆみ

省力・軽労化・低コスト稲作の必要性が高まる中で、全国各地で導入され、取組み面積が拡大してきた鉄コーティング直播栽培技術。クボタでは、平成17年から技術の実証と専用機械の開発、栽培体系の確立に取り組んできました。鉄コーティング直播の10年の歩みとを振り返ってご紹介します。
(この記事は、平成27年6月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.31』を元に構成しています)

1.はじめに

 これからの稲作経営は、多様な米づくりへと大きな転換期を迎えており、一層の省力・軽労化・低コスト化が重要な課題です。
 こうした中、クボタが提案している鉄コーティング直播栽培への取組みは、今年で10年を経過、栽培面積は年々増加し、平成26年では全国で10500haと拡大しています。そこで、クボタが鉄コーティング直播栽培を提案した経過と現地普及状況及び新たな現地の動きを紹介します。

2.なぜクボタは、鉄コーティング直播栽培を提案したのか

新潟県新発田市の生産者の声から始まった現地実証
 去る平成17年3月16日号の全国農業共済新聞に、農業・食品産業技術総合研究機構・近畿中国四国農業研究センターの農学博士・山内稔先生(当時)の鉄コーティング直播栽培の研究内容が紹介されました。直播栽培を土中方式で実施していた新潟県新発田市の生産者・内山公氏は、鳥害対策に悩まされており、この記事を読んで、鳥害回避・苗立ち安定の研究内容に、「ぜひ栽培したい」と新潟クボタ西新発田営業所に相談されました。この生産者の声がすべてのスタートとなったのです。
 この件を受けたクボタグループでは、研究開発者である山内博士と協議し、実証圃設置に向けたクボタ主体の実施計画が動き出しました。また、関係機関への支援要請を行い、県、JA関係者で協力体制を整え、内山様の60a圃場で現地実証を開始したのです(平成17年)。

鉄コーティング直播の様々な技術を確立
 新潟県の現地圃場で、コーティング比0.5、播種時除草剤散布、播種後入水その後自然落水で苗立向上等を実証し、技術体系を確立しました。これらの実証成果は現在のクボタ栽培ガイドの基本となっています。
 翌年の平成18年には、クボタグループが栽培技術導入の栽培ガイドを作成し、営農提案課題としてソリューション活動を開始しました。また、新潟県は試験研究機関、普及展示圃の成績を基に、平成22年、公的機関として全国初の導入の手引きを作成、普及活動を始めました。

3.面積拡大に提案活動を強化し開発に関係メーカーと連携

関係機関と連携し普及拡大フォーラムを開催
 クボタグループは新たな「省力・軽労化・低コスト稲作」への提案活動を全国各地で精力的に展開。なかでも平成25年には新潟県、26年には茨城県、千葉県、富山県で普及拡大フォーラムを、全農、農政局、県、普及関係機関等の協力の下、新潟クボタ、関東甲信クボタ、北陸近畿クボタ(当時富山クボタ)主催で開催し、会場に1000名を超える生産者の参加があり、この技術への関心の高さを感じられ、面積拡大につながりました。

鉄まきちゃん等機械及び専用除草剤・農薬・肥料開発
 機械化の面では、面積拡大に向けて、点播播種機「鉄まきちゃん」、自動鉄コーティングマシン、鉄コーティング籾酸化装置等を開発。特に、鉄まきちゃんの点播方式の開発は移植並の収量確保が可能となり、面積拡大に大きく貢献したと言えます。
 また、播種同時散布可能な除草剤、殺菌殺虫剤の開発が加速し、機械化体系と連動した技術が確立されました。

4.鉄コーティング直播栽培の面積が拡大する理由

従来の直播課題を解決する鉄コーティング直播
 直播方式には、乾田直播、湛水直播など、様々な栽培技術がありますが、その中で、なぜ鉄コーティング直播栽培が生産者に受け入れられ、面積が増加しているのでしょうか。直播導入への技術課題は、苗立の安定、鳥害対策、除草対策、収量向上です。これら課題を解決しているのが鉄コーティング直播です。

移植並みの収量と高品質米を生産
 これら課題を解決する技術として、特に播種同時の除草剤散布と点播播種により、移植並の収量が可能となり、面積拡大に大きく寄与しました。平成26年産における北陸近畿クボタ(当時富山クボタ)アンケート調査ではコシヒカリを中心とした184件の10a平均収量が8.04俵であり、8俵以上が71%と移植並の収量を確保しています。また、品質でも1等米出荷率が85%と高品質米を生産しています。

5.大規模経営体に導入定着され面積拡大

 栽培面積を分析すると、大規模経営体での導入面積拡大がみられ、技術の定着が顕著です。新潟県を例に取ると、栽培面積は平成26年の938haから平成27年には1206haに増加しましたが、取組戸数は横ばいで、一戸当たりの平均導入面積は1.49haから1.82haに拡大。一経営体当たりの面積の拡大が加速していると推測されます。
 この傾向は、全国の米産地でも同様であり、大規模経営体に導入定着している事例を紹介します。

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6.現地で新たな技術に挑戦

 導入定着している大規模経営体では、さらなる苗立ち安定や省力化に向けた技術実証に取り組んでいます。

7.新たな米政策に対応できる鉄コーティング直播栽培

 全国農業システム化研究会現地実証調査の平成26年度の新潟県上越農業普及指導センターの成績では、(株)あぐり三和・水稲作付面積51ha規模の経営体で移植栽培39ha、鉄コーティング直播栽培を12ha導入することで、作期分散、労働時間のピークを解消することを実証しました。これによって作付面積12haの拡大が可能で事業利益は726万円向上すると試算しています。鉄コーティング直播栽培の大規模経営体への導入効果が大きいことが報告されています。

8.まとめ

 鉄コーティング直播栽培は、農政の動きを見通した新たな米づくり、クボタが官民連携により確立した技術です。現在、多くの生産者の皆様に導入され、経営改善されている事例が多く見られています。また、導入によって苗運び等から解放された女性の皆様から軽労化での快適作業が絶賛され、担い手と女性が活躍する新たな「省力・軽労化・低コスト」の米づくりが取り組まれています。
 多様な米づくりへと米政策が大きく転換する時代、稲作経営の体質強化に「鉄コーティング直播栽培」が多くの生産者の皆様に活用していただくことを提案します。

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