100点に近い出来栄え。精確な作業ができるアグリロボは熟練者にこそ必要 お気に入りに追加
アグリロボMR1000AHユーザーインタビュー
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千葉県北部、利根川沿いに位置する香取郡神崎町。豊富な水資源と肥沃な大地に恵まれ、古くから良質の早場米産地として知られる米どころですが、同町も例外なく農業従事者の高齢化や離農に伴う担い手不足で法人組織が請負う面積が急増。作業の効率化・経営の安定化が課題となっています。農事組合法人 神崎東部では、スマート農機を積極的に活用することで課題の解決に取り組んできました。今回は播種作業で活躍している、アグリロボトラクタMR1000AH(有人仕様)の導入効果についてお話をお伺いしました。

増える農地に少数精鋭でどう対応するか課題に

30代から60代の9名のスタッフが働く、農事組合法人 神崎東部。稲・麦・大豆の土地利用型作物を主とした、大規模水田経営を行っています。「法人を立ち上げた2012年当初は50haほどでしたが、2023年の現時点では98haとおよそ2倍の規模になっています。毎年増える請負面積に対し、限られた人数でも対応できるようKSASや収量・食味センサ付きコンバイン、直進キープ機能付田植機などスマート農業技術をいち早く経営に取り入れてきました」と、話すのは代表理事を務める大原さん。スマート農業に活路を見出し、2019年には農林水産省と農研機構が旗振り役となり始めた「スマート農業実証プロジェクト」 に応募し、採択されました。

「千葉県香取地域における大規模水田輪作体系のスマート農業実証」の実証農場として、アグリロボコンバインや農業用ドローン、既存のトラクタに後付けできる自動操舵補助システムなどを活用して、作業時間の短縮、生産コストを削減してきました。2年間の実証で着実に結果を出すなか、麦・大豆の播種作業用として次に目を付けたのが、自動運転作業ができるアグリロボトラクタMR1000AHです。

(農)神崎東部ではこれまで60馬力のトラクタで全層施肥した後、シーダで播種を行っていました。時期中は早朝から夜遅くまで連日作業が続いていたことから、作業の軽労化・効率化と同時に精度も上げたいという思いから、2023年にアグリロボトラクタMR1000AHを導入しました。

アグリロボコンバインWRH1200Aで収穫作業を実演した際のスマート農業実証プロジェクトの様子。(2020年9月撮影)

麦・大豆は品質・収量の安定化のため適期播種が必須。大型トラクタで複合的に作業することで、効率アップを図る

予定通り精密に作業できる自動運転機能は熟練者にも魅力

プロでも難しい一本飛ばし作業が、ピタッときれいに決まる

(農)神崎東部では、直進作業時の誤差がわずか数センチという精度で作業できるMR1000AHの実力をさらに引き出すために、作業機とのマッチングを重視し、車速連動タイプの高機能シーダを装着しています。肥料散布機・薬剤散布機も共着し、昨今の資材高騰にも対応できるようムダ撒きを抑え、ムラなく均一に散布・播種が行えるようにしました。

「自動操舵機能がトラクタに標準装備されているだけあって、設定がシンプルで使いやすい。トラクタとの相性も良く、予定通り精密に作業できるので、熟練者であってもより高いレベルで正確に播種できます」と話すのは、オペレータの青野さんです。

「作業は1本飛ばしで行っています。旋回も自動で行うので切り返しの動作がなく、時間短縮につながっています。後の管理作業を考え、播種は条間をきっちり揃えたいのですが、人間の勘では難しいですね」。

MR1000AHは次に作業を開始する位置まで、自動でトラクタを誘導。位置合わせを自動で正確に行うため、次の作業ラインが分かりにくい1本飛ばし作業でも等間隔で真っ直ぐな作業ができます。

青野さんは枕地外周の旋回については手動で行い、直進作業は自動操舵機能を使っています。自動運転を行うための設定については「それほど難しくなく、時間もかからない。1回マップを作成すれば、次の作業でも同じマップが使えるので、利便性を感じています」。

入社7年目のオペレータ、青野さん

以前は「施肥」「播種」と2工程作業が必要だったが、MR1000AHに肥料散布機と薬剤散布機、シーダを組み合わせることで、「施肥・薬剤散布・播種」の3つの工程が1工程で済むように

直進作業をするための目標物がなくても、等間隔でまっすぐ播種できる。車速連動タイプの作業機×スリップ率の少ないパワクロとのシナジー効果で精密作業が可能

余裕・余力ができた分、新しいことに挑戦できる

「MR1000AHで作業するようになって、精神的にラクになりましたね。というのも、これまで土の状態や播種深度、仕上がり具合を確認しながら作業したかったのですが、それには高い運転技術が必要でした。それがMR1000AHでは、トラクタを真っ直ぐ走らせることに注力しなくて済むので、そこに神経を使っていた部分がなくなって精神的な負担が減り、正確な作業ができる。100点に近い作業ができます。今日は作業中に肥料が詰まるトラブルがありましたが、ハンドル操舵を任せて後ろを見ていられるからこそ早く気づくことができました」。

作業は重量のある大型作業機を装着しても、強いけん引力でスリップが少ないパワクロで行っています。より丁寧な作業ができるアグリロボトラクタとの相乗効果で、青野さんが理想とする精密な播種・施肥作業ができるようになりました。

「また、時間的にもっと作業ができるものの、くたびれてもうできないということがなくなるので、仕事に限らずプライベートに関しても余力が残せます。休息の時間を読書に充て情報収集をしたり、色んなことにアクティブに挑戦したりできる。これも大きなメリットですよね」。

お話をお伺いしたこの日、途中で雨に降られたため作業を切り上げ、最新農機の展示会場に向かった青野さん。「なかなか海外の作業機を実際に目にする機会がなかったので、興味を持って見ていました。展示会は新製品を見たくて来る場合も多いですが、色んな方とリアルに会った会話の中で得られる、価値のある情報を取りに来ています」。

「農業は創意工夫が発揮できる仕事で、自由度があり自分の個性が出しやすいところが、面白いですね。色々なことに興味関心を持ってこれまでの枠組みに囚われず、新しいことにチャレンジしたいです」と意欲的です。

ハンドル操作をアグリロボに任せ、余裕を持って後方確認が可能。土の状態を見ながら作業機を微調整する

2023年7月に発売された、REXA GSに乗車

地域農業発展の要となるスマート農業に期待

2024年(農)神崎東部では、アグリロボ田植機 NW8SAを導入する予定です。播種や収穫に加え、田植えまで自動運転で作業することで省力・効率化が見込め、「目標としていた経営面積100ha」が近く実現しそうです。大原代表理事は「100ha規模になってもアグリロボを使うことで、今の人数で十分対応できる」と自信をみせます。

また、近隣地域へスマート農業の普及・定着についても進めていきたいと言います。「神崎町には私たちのような組織が6つあります。今後も増える農地の受け皿として連合して、スマート農機を共同利用することも視野に、拡大する面積に対応したいですね。スマート農業に対する期待は大きいですよ」。

先陣を切ってスマート農業技術を積極的に経営に取り入れ、経営課題を解決するための行動を起こしてきた(農)神崎東部。これまでの実績や知見を通して、アグリロボをはじめとする先端農機を使いこなしながら、地域農業発展に向けた新たな挑戦に期待が集まります。

農事組合法人 神崎東部 大原代表理事

基盤整備事業でほ場が大区画化し、大型農機が作業しやすいほ場に改善。神崎町が設置したRTK固定基地局もあり、スマート農機が活用しやすいインフラ環境が整う

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