北海道北広島市の輪厚地域は、50年以上の歴史を誇るだいこんの産地。ブランド野菜として知られる「まるひろ大根」で有名です。もともとはだいこん単作地帯だったそうですが、近年は他の野菜との複合経営や法人化に取り組む農家も増えてきています。収穫作業の軽労化へ、この地で26年余だいこんの栽培に取り組んでいる(合)タクムガーデンの佐々木さんは、昨年、だいこん収穫機GRH1700を導入されました。
(この記事は、くるみ会情報誌「ニューインプル」を元に構成しています。 )
一人あたり1日1000本。パートさんも含めて約5人で、手作業で収穫を行ってきました
だいこん収穫機GRH1700を導入する前は、すべて手で抜いて収穫していたという佐々木さん。「手で抜くのは1人1日、1000本。パートさんも含めて5人でやって1日5000本抜きます。最近はがんばりすぎて1人1000本以上抜くと、だんだん腰などに負担を感じるようになってきましたね。今年初めて整形外科にいったんですが、椎間板がだいぶ減っていますね、って言われましたよ」とお話しくださいました。手作業でだいこんを抜いた後は、抜いただいこんを横に寝かせて行き、鎌で葉を切り、5本から10本まとめてトラックに乗せていくという作業が続きます。だいこん収穫機は、出始めの頃からいろいろ見てきたという佐々木さん。
「初期の機械は掴み取る性能があまり良くなかった。抜かれて上がってくるだいこんを選別し、なおかつ良くないものをほ場に捨てて行く作業もしなくてはならなかったので補助者も大変だと思いました。長年やってきていたので、これだったら作業能率も選別も、手でやる方がよいと思いました」と当時のことをお話しくださいました。また「機械も高額だった。10ha程度栽培していれば導入してもなんとかやっていけるかと思いましたが、私たちは6ha程。導入してやっていけるかという懸念もありましたね」。そうしたことから、これまで導入へと踏み切ることはなかったとのことです。
今後のことを考えて、収穫作業をラクにしよう収穫機の性能が変わって来たことを実感
しかし、「ある程度の年齢になってきて、だんだん腰も悪くなってきたりして、高齢化の対策ということも考えるようになってきた」という状況に。また「重量野菜であるだいこんの収穫作業は、パートさんもなかなか確保しづらくなってきた」ということも。一方で機械の性能も以前とは大分変わってきたのでは、という思いもあり「クボタのGRH1700は、だいこんがベルトコンベアを流れていく。選別して、良くないものはそのまま流せばほ場に落ちていく。これ、意外と技術的にすごいな」と実感したそうです。「年を重ねて、手作業では1日500本しか抜けないようになっても、これならやっていける」と思ったとのこと。補助金の活用も検討しながら、導入することを決められました。
そうしてこの秋、収穫作業の機械化が実現。「だいこんを抜く本数自体は手作業とあまり変わりませんが、何よりとてもラクになった。手で抜くよりも3割ぐらいは早くなった感じです」と実感をお話しくださいました。オペレータを務める佐々木さんがラクになったことはもちろん、同乗する補助者もラクに作業ができるとのこと。佐々木さんの奥様である珠恵さんは「ずっと同じペースで作業していくのではなく、補助者2人のバランスをとりながらベ ルトコンベアのスピードを考えていけるのがいいです。自分たち補助者のペースで休んだりしながらできるので、気持ちの面でとてもラクですね」とお話しくださいました。
ゆとりをもって作業をして行けるように今後の作付計画も含め、さらなる効率化を検討
さらに珠恵さんにお聞きしたところ「だいこん収穫機が世の中に出た頃、補助者として作業してみて、私が60歳になった時にこれで仕事をするかと考えたんですが、これではできないなと思ったんです。抜いてくるものを全部自分で処理していくのは、ものすごく忙しかった。その頃、機械を買わない決断をしたのにはそういう理由もありましたが、今回、だいぶ性能が変わっていて、これだったらいいかなっていうのがありましたね」とお話しくださいました。「農業を、一日でも、一年でも長く、ラクにやれるようにしたい」という想いも今回導入を決められた理由の一つ。「昨今、働きかた改革などが言われるようになりましたが、農家はなかなか休めない。私達のところは子供たちも巣立っていますので、これからはなんとか土日は休めるように作業していきたいと思います」と語る佐々木さん。「今回、こういうタイミングで収穫が機械化できたというのもありますが、規模拡大も含め、作付計画やその他の作業の流れを効率的に進めていけるように変えて行こうと、これからに向けて考えているところです」と今後の展望をお話しくださいました。
クボタだいこん収穫機 GRH1700
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