今年1月に発売された、GPSによる直進アシスト機能付き小型トラクタ「NB21GS」。うね立てをはじめ、耕うんや代かき作業など様々な用途でお使いいただいています。今回は、にんじんの土壌消毒作業でお使いのお客様のもとを訪れ、お客様の営農にNB21GSがどのように寄与しているのか、お話をお伺いしました。
価格と性能を考えると、十分満足できます!
トップクラスの農業産出額を誇る、全国でも有数の農業県、千葉県。古くから栽培されるにんじんは作付面積、収穫量とも北海道に次いで全国第2位(出典:農林水産省「平成30年産 野菜生産出荷統計」)となっています。県内でも主な産地である成田市で先代から、にんじんをメインに栽培を行う瀧島さんは、春夏にんじん2h、冬にんじん4.5hを作付けする、にんじんづくりのプロフェッショナルです。
「一番忙しい収穫時期は、約7名のスタッフで作業にあたっています。収穫作業を2~3名で担当し、残りの4名で出荷作業に従事。基本的には一人でも作業できるよう、可能な限り機械化を図っています。特にこの冬は4.5haもの面積を肥料振りから播種、土壌消毒まで私一人が行いました」。倉庫には瀧島さんが想う理想的なにんじんをつくるための機械や、少しでも作業の省力・効率化が図れるよう、メーカーに依頼した特注の機械が整然と並びます。
そんな機械に対して強い思い入れがある瀧島さんの目に留まったのが、GPSを活用し直進時、ハンドル操舵をトラクタが自動で行うNB21GSでした。「偶然、クボタのYouTubeで作業動画を見て、こんなトラクタがあるんだなと。すぐにクボタの担当者に試乗させて欲しいと頼みました」。試乗する前は、半信半疑だった瀧島さん。「自動操舵ができるトラクタは、高額で大型が多いですよね。利点も欠点も含め色んな話しを聞くなかで、それなら比較的安価な小型トラクタならどうだろう?と試したくなったんです」。
大手量販店向けに、試験的にアスパラガスの苗を作っている瀧島さん。手始めに早速、アスパラガスのうね立て作業でNB21GSをテストしました。「正直、驚きましたね。思った以上に精度良く仕事ができたので。うね立て作業は基本的にまっすぐ走行するだけですし、『直進アシスト』に機能を絞られているので、価格と性能を考えるとこれで十分だと思いました」。
テストで使ったのは実演機だったため、3日後には返却する必要があったそうですが、「このまま実演機を置いていって欲しいと頼むぐらい、即決でしたね。正直、もっと良くないのかなと思っていましたが、実際は大満足でした」。
精度よく作業できることで、品質の良いものができる
瀧島さんは主に、にんじんの土壌消毒作業でNB21GSを使用しています。「薬剤が缶に入っているので、残量がまったく見えません。薬剤が切れていないかどうかは、うねの本数である程度計算できるのですが、どうしても後ろが気になり、よく振返っていたので、うねが少しずつ曲がっていくことが多かったんです。それがNB21GSで作業するようになってからは、トラクタ任せで直進できるため、余裕を持って薬剤が確認できるようになりました」。
直進距離が約200mの畑もあると話す、瀧島さん。「距離が長ければ長いほどハンドル操作に集中し、気を張っている時間が長いので、身体の負担が軽減されます。去年と比べて、ラクですね」。
直進アシストの利点はそれだけではないようで、「ハンドルが取られ蛇行すると、薬剤の散布にムラが出ます。あまりにずれるとやり直す場合もありますが、今回はまっすぐ走行でき、精度の高い散布ができました。精度よく作業できることで、品質の良いものができるというのはありますね」。
ここぞという時に、効率よく作業できる!
NB21GSで作業してみて、驚いたことがあったと話す瀧島さん。「意外だったのは、直進アシスト機能がONになるまでの距離が短かったこと。10mぐらいは手動で走行する必要があるのかなと思っていましたが、ターンして作業機を降ろす位置まで前進したときにはもう液晶モニタに『直進アシスト機能ON』の画面が出てきます」。
「今までは切り返し後、後進して作業機位置を合わせ、一度機械を止めてから作業機を下して前進していたので、旋回に時間がかかっていました。NB21GSは旋回後すぐに直進アシスト機能がONになるので、後進後、機械を止めずに直進作業に入ることができます。そのおかげで旋回の時間が1.5倍程早くなって、こんなに効率が上がるのかと感心しました」。
結果として全体の作業時間短縮につながったと、喜ぶ瀧島さん。「今まで土壌消毒を4.5ha作業しようとすると、2人がかりで1週間ほど掛かっていました。それがNB21GSで作業するようになって、1人で4日あれば作業が終わるようになり、効率が格段に上がりました。今年は土壌消毒をやる時期に雨が多かったので、どのタイミングで散布するか悩むことが随分ありましたから、今だ!という時に1ha作業できるというのは、大きなメリットです。ひとつ作業がつまずくと、どんどん作業が後手に回りますからね。本来だったら作業が遅れていたところ今年は適期に、しかも早く作業が終わりました。効率を重視する私のやり方に、NB21GSはちょうど合っていたんですね」。
農業をもっと魅力あるものにしたい!
栄養価が高く、様々な料理に使えるにんじんは、私たちの食卓によくのぼる野菜のひとつです。「一人でも多くの人に、1円でも安くにんじんを提供したいというのが私の想いです。買い続けることができ、毎日でも食べてもらいたいですね」。瀧島さんは、にんじんが本来持っている力を最大限、引き出せるような栽培方法を実践しています。「最低限の肥料で、最低限の管理でやっています。それが結果として品質の高い、消費者の皆さんに喜ばれるような、にんじんになっていると思います」。
また、自社の農場の発展よりも、農業という仕事をもっと魅力溢れる産業にしたいと、夢を話す瀧島さん。「魅力がないと思われて若い人がやらなくなると、自国の食べ物を輸入に頼らざるを得なくなりますからね。お米など今は賄えているものが、だんだん賄えないようになるのが一番怖いです」。
その課題を払拭するために、NB21GSをはじめとするスマート農機に期待できることとは、「今まで熟練者しか、まっすぐなうねが立てられなかったのに、最初から高得点のうねができるというのは、プロになるための近道につながることですし、すごい技術だと思います」。瀧島さんのようなプロフェッショナルだけでなく、これから農業を始めようとする、機械の操作に不慣れな方でも利点があるNB21GS。誰もが取組みやすい農業の実現に、NB21GSが役立つことも多そうです。