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専用品種導入と鉄コーティング直播栽培で挑むWCS用稲

インタビュー2015/06/08

岡山県

水田のフル活用・高度利用で経営の安定化と地域の活性化#04

綾部飼料稲生産組合の取組み

〜専用品種導入と鉄コーティング直播栽培で挑むWCS用稲〜

専用品種導入と鉄コーティング直播栽培で挑むWCS用稲

水田の効率的活用と、粗飼料の自給率向上のために近年注目されているWCS用稲。鉄コーティング直播栽培と専用収穫機の導入によって省力化・低コスト化を実現し、さらにWCS用稲専用品種を選択することで、飼料価値の高い良質なWCS用稲を生産している岡山県津南市の綾部飼料生産組合。その取組みを取材しました。
(この記事は、平成26年12月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.30』を元に構成しています)

専用収穫機導入で一気に拡大したWCS用稲

 「WCS用稲への取組みは、青刈り稲からの転換から始まったんです。平成13年、最初は私一人だったんですが、その後、WCS用稲の生産に理解を示した耕種農家と収穫調製する酪農家との耕畜連携で拡がっていきました。しかし既存の牧草収穫機では、点在する圃場を酪農家が走り回ることになるんです。刈取りも行き、収穫調製しロールもして、ラップする時間なんてありませんよ。これでは拡大はできないと。そこで私が唱えたのはWCS用稲専用収穫機の開発です。この提案にすぐに対応してくれたのがクボタでした」と当時を振り返る高山さん。これにより完成したのが国内1号機となる細断型ホールクロップ収穫機です。この収穫機導入を機に、高山さんが描く酪農家にとって効率の良い収穫体系が確立。一気に栽培面積が拡大しました。「収穫をコントラクター組合が担うことになり、津山地域では平成19年に20haを超えました。そこで津山地域飼料稲生産利用研究会を立ち上げ、生産農家と利用農家の連携を強め、情報交換の場を作ったのです。両者の調整にはなかなか苦心しました」と当時の大変さを忍ばせます。

鉄コーティング直播で省力・低コスト化

 規模拡大する中、高山さんがWCS用稲の生産者としての立場に立って、強い思いで取り組んだのが鉄コーティング直播栽培です。「面積が増えて、どうやったら省力・低コスト化を図れるかを考えていた時、鉄コーティング直播栽培という新技術が開発されたと聞いて、近畿中国四国農研センターに飛んで行ったんですよ。」開発の第一人者である山内稔先生から説明を受け、「担い手が高齢化する中、省力化を図るには育苗部分を省くしかない。この技術ならいける!」と感じたという高山さん。早速、平成18年に13aで試験栽培に挑みました。
 「当時はまだ機械が何にもなくて手播きで実証しました」と言う高山さんは、初年度は、全く経験のなかった初めての直播栽培に、除草剤の体系がよくわからず雑草には苦労したそうです。「実際に取り組んで、課題は草だけだと思いましたね。出芽も水管理も問題なくうまく育ったんです。これは続ける価値があると思いました」と確信し、2年目はクボタの支援を受け、直播機の実演機を借りて作付けも1haに拡大。実証試験を継続しながら栽培技術を培っていきました。

コーティング種子の大量製造で作業を受託

 課題だった雑草対策は、播種同時にサンバード3㎏粒剤、初中期にミスターホームランLフロアブル剤、そして抑えきれない場合はクリンチャーバスME剤と除草体系を確立しています。「この部分だけを捉えると省力化にはなっていても低コストとは言えないかもしれません。ただ、私は面積を増やせばいいと考えた訳です。だからすぐに多目的田植機と直播機も導入しました。鉄コーティング直播にすれば労働費が掛からないんですから。トラクタ作業は何ha増えようが対応できる。播種作業は一人で大丈夫。この地域は高齢化が加速してるんです。もう苗運びは難しいですよ」と直播導入は地域農業存続の切り札だと語ります。
 高山さんが組合長を務める綾部飼料稲生産組合では、津山市を中心に今年度、約17haで春作業を受託。その内の3haが鉄コーティング直播です。
 また、最大で500㎏(乾籾重量)まで対応できる鉄コーティング種子乾燥機と大型の催芽機(400㎏対応)を導入しコーティング種子製造を受託。近隣農家を中心に約1tの大量製造を行うことで地域での普及も図っています。

専用品種で飼料価値の高いWCS用稲を生産

 また高山さんは、これまでWCS用稲専用品種を積極的に導入して飼料価値の高いWCS用稲を生産しています。当初は、津山地域に適合する品種ということで「ホシアオバ」を選定しましたが、その後、近畿中国四国農研センターが育成した新品種の「たちすずか」と「たちあやか」を試験段階から積極的に導入。これらは従来品種に比べて籾が少なく消化の良い茎葉の割合が高く、乳酸発酵に必要な糖含量が飛躍的に高い上に倒伏にも強いという優れた品種です。
 高山さんは、「更なる飼料高騰が予想される中、国産のWCS用稲の需要が益々高まると思います。新しい品種の選定や栽培技術の向上に努めて、より飼料価値の高い良質なWCS用稲を安定して生産していきたい」と熱く抱負を語ります。地域農業をけん引する高山さんの活躍がこれからも期待されます。

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